部下のモチベーションを上げるのは上司の責任って本当?


部下のモチベーションアップは、管理者にとって悩みの種です。「給料を上げても変化がなかった」「褒めたり励ましたりするほど、部下のモチベーションが下がっている気がする」など、もはや打つ手がないという人も多いのではないでしょうか?

そこで今回は、「部下のモチベーションを上げるのは上司の責任なのか?」をテーマに、くわしくまとめてみました。最新のデータを取り上げながら、対処法についてもお伝えしていきます。ぜひ参考にしてください!

 

部下のモチベーションで悩む上司が増加中!

今、部下のモチベーションを高めることで悩む上司が増えています。2020年10月14日から11月19日までの期間、株式会社アルヴァスデザインが実施した調査で明らかになりました。まずは、こちらのグラフを見てください。

出典:株式会社アルヴァスデザイン
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000026.000015496.html

 

同調査は、民間の企業に勤める部長・課長1310人を対象に行われています。その結果、いちばんの悩みは「モチベーションを高めること」80.3%でした。2019年の56.3%から24%もアップしています。その他の悩みに関しては、2019年と2020年でほとんど変わりません。

なぜ、部下のモチベーションで悩む上司が増えているのかというと、コロナ禍の影響ではないかと推測されています。もし、2021年も感染拡大が続く場合、さらに悩む人が増えるかもしれません。

 

部下のモチベーション低下は上司の責任?!

部下のモチベーションの低下は、上司の責任だと言えるのでしょうか? まずはこちらのグラフを見てください。先ほども取り上げた、アルヴァスデザインの調査結果です。

出典:株式会社アルヴァスデザイン
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000026.000015496.html

 

ここで言う「マネジャー」とは、部長・課長クラスの管理者のことです。「マネジャーの役割は何か?」という問いに対して、「人を育てること」「モチベーションを高めること」と回答した人は、全体で約90%となっています。

この結果が全てではないですが、業務上で「部下のモチベーションを高めること」を重視する人は多いといえそうです。その役割を果たすことができなかった場合、責任を感じてしまうことがあるのかもしれません。

ただし、本来、モチベーションは自分で管理するものです。部下のモチベーション低下の責任は、上司だけにあるとは言えないところがあります。特に現在は、コロナ禍の影響で世界全体のモチベーションが下がり気味です。そういった意味では、上司の立場にいる人だけが、一人で責任を抱える必要はないでしょう。

 

部下のモチベーションスイッチをONにするには?

具体的に、部下のモチベーションスイッチをONにするには、いくつかの方法があります。ここでは、「キャリア・アンカー」について見ていきましょう。「キャリア・アンカー」とは、米組織心理学者エドガー・シャインが提唱した概念です。

人が自分のキャリアを選ぶ際、いちばん大切にしている価値観・欲求のことを指します。その価値観や欲求を満たすと、無理なくモチベーションを上げることができるのです。キャリア・アンカーは、全部で8種類に分類されています。

キャリア・アンカー8種類

管理能力 – 組織の中で責任ある役割を担うこと(を望むこと)。

技術的・機能的能力 – 自分の専門性や技術が高まること(を望むこと)。

安全性 – 安定的に1つの組織に属すること(を望むこと)。

創造性 – クリエイティブに新しいことを生み出すこと(を望むこと)。

自律と独立 – 自分で独立すること(を望むこと)。

奉仕・社会献身 – 社会を良くしたり他人に奉仕したりすること(を望むこと)。

純粋な挑戦 – 解決困難な問題に挑戦すること(を望むこと)。

ワーク・ライフバランス – 個人的な欲求と、家族と、仕事とのバランス調整をすること(を望むこと)。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

 

どのキャリア・アンカーが強く出るかは、人によって様々です。なので、部下のモチベーションを高めたい場合は、部下のキャリア・アンカーを特定する必要があります。

もしかすると、すぐには判明しないかもしれません。長い目でみながら、日々、部下とコミュニケーションを図ってみてください。それをきっかけに、部下のモチベーションスイッチをONにすることができるでしょう。

 

あなたへの問い

Q1:あなたのチームが挙げるべき成果はどんなものですか?
 「業績に直接かかわるもの」だけでなく、「制作過程やその生産物についての工夫や改善」、「同僚や部下もしくはその部下の能力的成長・人間的成長」など、思いつくかぎりあげてください。

(あなたが気にかけている部下に対して)
Q2:どの成果に対して、どんな貢献を期待していると伝えますか?
 
Q3:その部下のモチベーションのスイッチは、どこにあると思いますか?
  これまでの彼(彼女)が「活き活きとし始めた場面」や「急に沈んだ場面」などを思い起して、上記のキャリア・アンカーなどを参考に考えてみて下さい。

▼問いの解説

部下のモチベーションをあげることが上司の責任だと考えると、真面目な方ほど悩みます。

しかし、上司が責任を負うべきなのは、自分のチームの「仕事」であり「その仕事の成果」です。
部下が成長し、自信をつけ、自分の仕事に誇りを持つことも起こるでしょうが、それは仕事の副産物です。
そもそも、成果がない(もしくは「わからない」)仕事に誇りや自信を持てるはずがありません。

上司が責任を負うべきは、まず第一に仕事そのものです。(Q1)
この質問に対しての答えは、複数あるはずですが、1つしか書けない方が意外と多いのです。
訊かれて明確に答えられず曖昧な対応をすることは、やる気のある部下のモチベーションを確実に下げています。

そのうえで次に考えるべきなのは、部下と共通の認識をつくることです。(Q2)
この認識の確認をしないままで、一人合点で勝手な期待をして、察してくれない相手に苛立ちを感じたり、察してくれていると思い込んでいた部下に裏切られたと感じる方も多いようです。
しかし、誰しも「何を考えているかわからず、突然に感情的になる上司」の顔色をうかがいながら働きたいと思わないでしょう。
できれば、部下自身が「どんな貢献を期待されていると考えているか」を訪ねるべきです。

一人ひとり個性の違う部下のモチベーションに気を配るのは最後です。(Q3)
これには、人によって上手&下手があって当然です。
しかし、自分が下手であることをあまり気にする必要はありません。
Q1とQ2を徹底して行えば、いずれその能力もついてくるでしょう。

逆に、むしろ自分は上手だと考えて、Q1やQ2をおろそかにする方の方が危険です。
方法論として、他人を「心理操作」するテクニックに走る傾向があるからです。
ドラッカー教授も指摘しているので、次の言葉をご紹介します。

======ドラッカーの言葉======

いかに多くの心理セミナーに参加しようとも、心理的専制を実践しようとしてはならない。
自らが最初の犠牲者になるのがオチである。
失敗するに決まっている。成果はあがらない。

仕事のうえでの人間関係は尊敬に基礎をおかなければならない。
これに対して心理的専制は、根本において人をばかにしている。
伝統的なX理論以上に人をばかにしている。

『マネジメント〈上〉』p.295

【解説者】清水祥行プロフィール

Dサポート株式会社代表取締役、ナレッジプラザ・ドラッカー読書会認定ファシリテータ
一般財団法人しつもん財団認定ビジネス質問家、経済産業省登録中小企業診断士(平成8年登録)

清水祥行
『ドラッカーを読んだら会社が変わった!(日経BP社刊)』『ドラッカー教授組織づくりの原理原則(日経BP社刊)』編集協力。 中小企業におけるドラッカーのマネジメント実践をサポートする[実ドラ・実践ナビゲータ]。 『実ドラ:実践するドラッカー』シリーズ(ダイヤモンド社)をテキストに、1日一冊で、マネジメントを実践的&体系的に学ぶ[実践するマネジメント講座]の講師を全国で務める。  趣味は、受講企業に訪問して実践事例を取材するとともに、自社では気付かない強みをフィードバックすること。

 

 

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