『マネジメント』初心者が実際に読んでまとめてみた(1)ドラッカーが重要視していたのは〇〇だった!?(序論:第1章「マネジメントの登場」要約)

 

『マネジメント』初心者が実際に読んでまとめてみた(1)ドラッカーが重要視していたのは〇〇だった!?(序論:第1章「マネジメントの登場」要約)

本記事は、初めてドラッカーの『マネジメント』を読んだライター石山が、1章ごとに内容をまとめながら、気づきや発見を共有する企画シリーズです。

ドラッカーの『マネジメント』

『マネジメント』の内容を解説したサイトはさまざまですが、実際のドラッカーの文章を引用しながらまとめているのは、本記事ならではの試みです!

「ドラッカーが実際にどんなことを書いているのか、本物の文章を読んでみたい」

「他サイトはコンパクトにまとめられ過ぎていて、“なぜ”そうなったのかよくわからない」

「聞きかじった内容をまとめているだけのサイトが多い気がする……」

「もっと真面目に『マネジメント』を勉強したいけど、自分で読み解く自信がない」

このような方は、ぜひ本記事を読んでみてください。大学のゼミのレジュメを読むつもりで、一緒に学んでいきましょう♪

(1)みんなサラリーマン!?20世紀に幕を開けた「被用者社会」

(1)みんなサラリーマン!?20世紀に幕を開けた「被用者社会」

まずは、マネジメントが必要とされる“以前の社会”についてみてみましょう。

20世紀初頭(1900年代の初め)の社会は、いったいどのような世界だったのでしょうか。

ポイントは「組織」。ドラッカーは20世紀初頭と現代の組織の違いについて着目します。

現代はいわば「組織社会」。インフラ、生活資源、医療、教育、研究開発など、およそ社会の機能の大部分が、組織に依存しているとドラッカーは考えます。

では、20世紀初頭の社会はどうだったのでしょうか。

「かつては今日のような社会は想像もできなかった。一九〇〇年にいたってもなお、あらゆる国において社会の主役は家族だった。組織などなかったし、あっても小さかった……(中略)……大企業の芽はあった。しかし芽にすぎなかった。すでに大企業とされていたものも、今日からすれば、いたって小さかった」

(『マネジメント 課題、責任、実践(上)』ドラッカー名著集 13/P.F.ドラッカー/訳:上田 惇生/p. 2)

このようにドラッカーは、20世紀の初期は、まだまだ組織が未発達で規模も小さく、社会の中心を担うだけの影響力は少なかったと考えています。

しかし、二度の大戦を経験し、世界が戦争のショックから立ち直り出す頃には、社会全体が組織に依存するようになっていたのでした。

「……今日の市民の典型は被用者である。彼らは組織を通じて働き、組織に生計の資を依存し、組織に機会を求める。自己実現とともに、社会における位置づけと役割を求める。……(中略)……二〇世紀の初めには「お仕事は何ですか」と聞いたが、今日では「お勤めはどこですか」と聞く」

(『マネジメント 課題、責任、実践(上)』ドラッカー名著集 13/P.F.ドラッカー/訳:上田 惇生/pp. 3-4)

ドラッカーはこれを「被用者社会の到来」と呼びました。右も左も、みんな勤め人。わたしたちは必ず何らかの組織に所属しているし、生活が組織によって保障されているわけです。

言い換えると、サラリーマン社会。ドラッカーはそんな時代にこそ「マネジメント」が必要だと説きます。

★ポイント★

・20世紀の初めは、組織の規模がまだまだ小さく、主役はあくまでも家族だった。

・やがて組織が拡大し、サラリーマンが主役の「被用者社会」が到来した。

・マネジメントはそんな「被用者社会」に必要とされるもの。

(2)どうして企業にマネジメントが必要なのか?

(2)どうして企業にマネジメントが必要なのか?

もともとドラッカーは、経済学や政治学の世界でひとかどの人物になれるほどの教養人でした。

そんなドラッカーが、どうして「企業」を対象にマネジメント理論を生み出そうとしたのでしょうか。

実はそこには、ドラッカーの持っている根本的な信念が関係しています。

ドラッカーは、これまで「企業」が社会にもたらしてきた価値を高く評価しました。

企業の成功は、やがて地上から貧困がなくなるのではないかとさえ期待させるものがある。先進国において、今日のような高等教育が可能となったのも企業のおかげだった。企業が教育に必要な費用を生み出し、教育後に必要な職場を生み出した。今日われわれが、社会の不平等を人類の宿命とせず、正すべき問題としてとらえるようになったことさえ、経済活動すなわち企業の活動のおかげである。しかもいまや、政治的に分裂しナショナリズムに細分化された世界にあって、国境を越えて活動しているものが企業である。グローバル企業は、多様な言語、文化、伝統、価値観の者たちを、共有する目的のために結束させている。それは、世界観、価値観、意思決定においてナショナリズムにとらわれることのない、わずかな組織の一つである」

(『マネジメント 課題、責任、実践(上)』ドラッカー名著集 13/P.F.ドラッカー/訳:上田 惇生/pp. 8-9)

このように現代企業は、商品やサービスを提供するという自らの目的を果たすことで、意図せず社会全体の利益に貢献しています。

マクドナルドは、いつどこで食べてもマクドナルド。そこで働いているスタッフの国籍や人種は多様ですが、提供されるメニューや、スタッフの共有する企業理念はいつだって同じもの。それは確かに、グローバル企業にしか成し得ない偉業とさえいえるでしょう。

企業が成功する(成果を出す)ということは、すなわち社会をより豊かにするということ。

マネジメント理論が企業中心になったのは、他でもないドラッカー自身が、社会的責任を持つ企業に期待をしていたからなのですね。

では、どのようにすれば企業は成果を出すことができるのでしょうか。そのための方法・考え方が、まさにマネジメントなのです。

では、マネジメントとは一体何なのでしょうか。

★ポイント★

・企業の成功は社会の発展。

・企業は社会に対して責任を負っている。

・企業が成果を出すためにはマネジメントが不可欠。

(3)意味がたくさん!?マネジメントとは?

(3)意味がたくさん!?マネジメントとは?

ひょんなことからドラッカーの『マネジメント』を読んだ『もしドラ』の主人公・川島みなみは、野球部を甲子園へと連れて行くという大きな目標のために、野球部の組織づくりをしていきます。

一時期、メディアでとても話題になりましたよね。『もしドラ』をきっかけにドラッカーを知った方もいるのではないでしょうか。

ではそもそも、「マネジメント」は一体どのような意味が?ドラッカーはこの言葉についてこう述べています。

「マネジメントという言葉は難しい言葉である。完全なアメリカ英語であって、イギリス英語を含めいかなる外国語にも翻訳できない。それは機能であって、かつ人である。社会的な地位であって、一つの体系、研究分野である」

(『マネジメント 課題、責任、実践(上)』ドラッカー名著集 13/P.F.ドラッカー/訳:上田 惇生/p. 5)

マネジメントとは、機能であり、であり、社会的地位であり、体系であり、研究分野である……。

う~ん、定義がたくさんありすぎて、頭がこんがらがってしまいますね!

ドラッカーは、どうやらマネジメントという言葉にたくさんの意味を込めているようです。

もともとこの『マネジメント』という著作は、「実は難しい」「初心者にはオリジナル版ではなくてわかりやすくコンパクトにしたエッセンシャル版のほうがおすすめ」といわれているようですが、その理由が、ちょっとだけわかったような気がします。

しかしそうであるからこそ、ドラッカーが「マネジメント」という概念の構築に並々ならぬ情熱を注いでいたことがわかりますね。

「組織が機能するには、マネジメントが成果をあげなければならない」

(『マネジメント 課題、責任、実践(上)』ドラッカー名著集 13/P.F.ドラッカー/訳:上田 惇生/pp. 4-5)

「あらゆる組織が、マネジメントを持ち、マネジメント上の課題をもち、マネジメントの仕事を行う。あらゆる組織がマネジメントを必要とする。そしてあらゆる組織に、成果をあげるべき機関としてマネジメントがある

(『マネジメント 課題、責任、実践(上)』ドラッカー名著集 13/P.F.ドラッカー/訳:上田 惇生/p. 5)

「組織がなければマネジメントもない。しかし、マネジメントがなければ組織もない。マネジメントとは近代組織に特有の機関である。組織の生存成果を左右する組織の機関である」

(『マネジメント 課題、責任、実践(上)』ドラッカー名著集 13/P.F.ドラッカー/訳:上田 惇生/p. 5)

わずか1ページ弱のなかに、こんなにもマネジメントのことについて書かれています。

ここでわかるのは、ドラッカーがマネジメントを一つの「機関」として捉えているということです。

なんだかわかったようなわからないような……とモヤモヤしてしまうかもしれません。

しかし結局、突き詰めていくと、マネジメントという言葉の本質は「成果を出すための実践」であることがわかってきます。

「つまるところ、マネジメントとは実践である。その本質は知ることではなく、行うことにある。その評価は、理論ではなく成果によって定まる。主役は成果である。……(中略)……本書の序論部分のタイトルは「マネジメント――ブームから成果へ」である。私はこれを本書の書名にしてもよかったと思っている」

(『マネジメント 課題、責任、実践(上)』ドラッカー名著集 13/P.F.ドラッカー/訳:上田 惇生/まえがき viii)

では、マネジメントが成果を出すための実践なのだしたら、組織の誰がそれを行うべきなのでしょうか?

経営のトップがマネジメントをするのは当然かもしれません。

しかしドラッカーはあくまで「マネジメントはプロフェッショナルの仕事」と考えており、地位や権力は関係がないと考えます。

つまり、成果を出すことに責任がある以上、わたしたち一人ひとりがマネジメントをする当事者なのです。

★ポイント★

・マネジメントとは成果を出すための実践のこと。

・実践に地位や権力は関係ない。

・成果に対して責任を持つ者すべてにマネジメントが必要。

まとめ:企業の社会的意義を再確認

『マネジメント』(上)の序論:第1章「マネジメントの登場」は、組織が大規模化してゆく20世紀の時代を振り返りつつ、ドラッカーの“企業観”を知ることのできる章でした。

ドラッカーがなぜ、企業のマネジメントにこだわったのか。それは彼が、企業の成功が社会の発展に貢献すると確信していたからなのですね。

どうして企業はビジネスを行うのか。自分の会社は何のためにあるのか。

そう問い直すことがあったときは、ドラッカーがどんな風に企業の存在意義を見ていたのかを思い出してみるかもいいかもしれませんね。

今回の記事でも触れたように、ドラッカーのマネジメントは、ただ本を読んだり、知識を蓄えて誰かに話すだけでは意味がありません。ドラッカーが望んでいるのは、何よりも「実践」なのです。

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