【オーストリア・ウィーン】はドラッカーの生まれ故郷であり、思想形成に大いなる影響を与えた国


オーストリア・ウィーン

第一次世界大戦により、オーストリア=ハンガリー二重帝国は崩壊した。その一部から誕生したのが、オーストリア共和国である。1938年にはドイツに併合されたが、1955年に完全に独立した。現在は、国連事務所をはじめ、数多くの国際機関の拠点となっている。

首都ウィーンには、640年続いたハプスブルク家の統治の遺産が詰まっている。ヨーロッパの名画が並ぶ美術館や華麗なる建築の数々。また、モーツァルトやシューベルト、ベートーベンに強烈なインスピレーションを与えた首都ウィーンは、「音楽の都」と呼ばれる。

ドラッカーのオーストリア・ウィーン時代

4歳の夏休み

ドラッカーは、1909年に二重帝国時代の帝都ウィーンに生まれた。1914年の夏休み、ドラッカー家はイタリア半島とバルカン半島に挟まれたリゾート地、アドリア海を訪れていた。しかし、6月28日にサラエボ事件が起こる。戦争を防ぎたかった父アドルフは、一家を連れてウィーンに戻る決断を下す。ドラッカーは幼少期から、激動の時代に巻き込まれていたのだ。

8歳で私立学校に転校

ドラッカーは字が汚かったが、それが原因で公立から私立学校に転校させられた。彼はそこで、恩師となるミス・エルザとミス・ゾフィーと出会う。

ミス・エルザは、それまで見過ごされてきたドラッカーの作文力を見抜き、鍛え上げた。また、彼女が用いた目標管理法は、ドラッカーのマネジメント思想の中核を成している。

ミス・ゾフィーは図工の教師であった。彼女は教える際に言葉を使わなかった。生徒の手にやさしく自身の手を重ね、適切な位置に誘導するだけであった。それだけで、生徒は自分の意図したものを描くことができたのだ。彼女はドラッカーに、本質を見抜く洞察力を養った。

この姉妹は、学び、教える楽しさを自ら身をもって示した。そのお陰で、ドラッカーは教える喜びを見いだすことができた。

13歳で赤旗デモに参加

私立学校を卒業した後、ドラッカーはギムナジウム(ヨーロッパの中高一貫校)に入学した。そこでの授業は退屈だったが、転機となる出来事があった。それは、社会主義集団の先頭に立って赤旗をもち、デモ行進をしたことである。

当時、14歳未満の高校生は政治活動への参加が禁止されており、ドラッカーは法を破るスリルを感じて参加した。行進するにつれ、ますます大規模になる隊列。その先頭に立つことを、彼は誇らしく感じた。

目の前に水たまりが現れた時、ドラッカーは何とか進路を変えようとした。だが、付いてくる大集団の圧力に圧倒され、為す術が無かった。渡りきった後すぐに、他の学生に赤旗を突き返し、家路についた。自分は政治をやる人間ではないと悟ったからだ。こうしてドラッカーは、自身のことを、傍観者ー他人に直接影響をもたらす人間ではないし、普通とは異なった見方をする人間ーと認識するようになった。

オペラとドラッカー

オペラとドラッカー
(引用画像:wikipedia)

ところで前述したようにウィーンといえば「音楽」であるが、ドラッカーは幼少期からこの地でオペラに親しんでいた。ギムナジウムを卒業したドラッカーは、ドイツのハンブルグに移り住むが、そこでも週1回はオペラ座に通っていたという。

ドラッカーはハンブルクで初めて「ファルスタッフ」を鑑賞し、人生の喜びを歌い上げる力強さに圧倒される。このオペラは、ヴェルディという作曲家が、既に音楽家として名声を得ながらも、ある信念を元に、80才という年齢で書き上げたものだ。その信念とは、

「いつも失敗してきた。だから、もう一度挑戦する必要があった。」

そんなヴェルディの信念は、ドラッカーの人生観にも影響を与えた。のちに彼はこう語っている。

「一生の仕事が何になろうとも、ヴェルディの言葉を道標にしようと決心した。そのとき、いつまでも諦めずに、目標とビジョンを持って自分の道を歩き続けよう、失敗し続けるに違いなくとも完全を求めていこうと決心した。」

(『プロフェッショナルの条件』より)
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