引用画像:wikipedia
イデオロギー(ideology)とは、ある特定の理念・主義・思想によってつくられた世界観のことである。強烈な信念に支えられた価値観とも言い直すことができる。現実の社会に対して否定的な考えを持ち、“これから目指していくべき理想の社会”をさまざまな手段に訴えて推し進めていこうとする傾向がある。
たとえば20世紀でいえば、「マルクス主義」「社会主義」「共産主義」「全体主義(ファシズム)」がイデオロギーの一例である。
イデオロギーはその世界観のなかで自己完結しているため、他のイデオロギーとは相容れない。そのため、別々のイデオロギーを持つ者たちは、絶えず衝突する。
衝突するだけならまだしも、しばしばイデオロギーを持つ者たちは、自分たちの信奉する世界観を実現するために、過激な行動に出る。その結果「革命」「クーデター」「テロ」「戦争」へとつながりやすい。
ロシア革命、ナチスの国家社会主義、ムッソリーニの全体主義、第二次世界大戦、スターリンの大粛清、朝鮮戦争、東西冷戦……。まさに20世紀は、イデオロギーの衝突の時代だったといえる。
“イデオロギーに世界は救えない”――ドラッカーが「企業」に希望を託した理由
ドラッカーの翻訳者であり、ドラッカー本人から「分身」とまで評された上田惇生(うえだ あつお)氏は、激動の20世紀を生きたドラッカーが「企業」に関心を強めていった理由を、次のように解説している。
「イデオロギーで人が生き、死んでいく現実を目の当たりにした人生の早い段階で、現実に根拠を持つことのない、頭脳のみで生起した観念が世の中を救う力を持たないことをドラッカーは知っていた。
イデオロギーに世界を救う力はない。ならば現実的な社会的存在に次の文明を託す必要がある。王侯貴族でも軍人でも官僚でもない、世界の現実と価値を象徴してやまぬものは何か、その探求の結果としてドラッカーは企業研究を始めたのだった」
(『ドラッカー入門 新版』より)
こうした企業研究の成果として、ドラッカー流の「マネジメント」の概念が生まれたのだった。上田氏はマネジメントを「脱イデオロギーをもって企まれた知識」といった。
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