言い訳ばかりする人はどんな心理なの?接し方のコツと今後の付き合い方について解説

言い訳ばかりする人を、“ダメな人”、“仕事ができない人”と決めつけるのは簡単ですが、組織としての前進はありません。

大切なのは、言い訳ばかりする人の心理を深堀して、根本的な改善を図ること。

今回は、言い訳ばかりする人の心理状態を考察するとともに、具体的にどのように接していくべきかを解説します。

言い訳ばかりする人は、自分の能力を発揮できていないだけです。仕事に対する価値観を変えれば、自然と責任感を持てるようになり、自身の強みを生かして活躍できるようになりますよ。

言い訳ばかりする人の心理状態

他人の評価を気にしすぎ

自分が周囲からどんなふうに思われているかを気にしすぎる人は、仕事のミスや意思決定の誤りを取り繕い、自己保身に走る傾向があります。

できない自分を認めたくない

自己評価が極端に高い人も言い訳しがちです。仕事で成果があがらない自分、ミスをした自分、成長できない自分……。認めたくないという気持ちが強すぎて、現実を受け入れない傾向があります。

また、前職でそれなりの成果をあげている人が、新しい仕事に馴染めず、つい言い訳をしてしまうなんていうことも珍しくはありません。

怒られるのが怖い

成果の出来やミスを理由に「怒られてしまうのではないか」と思ったら、誰でも言い訳をして取り繕うとしてしまうものです。

怒られる・たしなめられることを、極端に恐れる人には、潜在意識の中に何らかのトラウマがあるのかもしれません。一方で、上司が怒りっぽいということも考えられます。

言い訳ばかりする人が組織の生産性を下げる理由

言い訳ばかりすると、自分の仕事ぶりを見つめなおす機会が極端に減ります。つまり、いつまでたっても成長できないのです。

成長とは、トライ&エラーとフィードバックを繰り返し、反省を生かすプロセスです。言い訳ばかりする人は、現実を直視できないため、成果のあがらない現状を暗に肯定していることになります。

ですから、言い訳ばかりする人は、転じて、組織の生産性をも下げてしまうのです。あなたの組織が、知識労働をメインにするビジネスを展開しているのなら、尚のこと致命的です。

知識は正しく適用したとき、最も生産的な資源となる。逆に間違って適用したとき、最も高価でありながら最も非生産的な資源となる。

ドラッカー『マネジメント』より

言い訳ばかりする人を生かすには“上司力”が問われる

言い訳ばかりする人を放置するわけにはいきません。その人を生かさなければ、組織の生産性が下がってしまうからです。

もちろん、言い訳ばかりする人を“仕事ができない人”と決めつけるのは簡単です。しかし本当は、成果をあげる能力を発揮できていないだけで、くすぶっているだけかもしれません。

仕事ができない者が駄目な人間というわけではない。間違った場所にいるだけである。

ドラッカー『マネジメント』より

すべての間違いは、仕事に対するものの見方・考え方です。

たとえば仕事で高い目標を掲げている人は、目の前で起こった困難やトラブルを、成長の糧と捉えるでしょう。

しかし一方で、“怒られたくない”、“上司に気に入られたい”という視座の低い考えで仕事をしている人は、自己保身がゴールなわけですから、言い訳で自分を守ろうとしてしまいます。

あなたの同僚や部下が、もし言い訳ばかりしているなら、“女子力”ならぬ“上司力”の見せどころです。以下では、言い訳ばかりする人への接し方をご紹介します。

言い訳ばかりする人への接し方4つ

①組織のミッション(使命)を伝えて視座を高くする

言い訳ばかりする人は、仕事の成果がどうだったかよりも、自分が他者からどう評価されるかという“自己保身”にしか関心がない状態になっています。つまり、視座が低いのです。

ですから、まずは組織のミッション(使命)を伝えて、高い視座で仕事を行えるようにしましょう。組織のミッション(使命)は、すなわち仕事の社会的意義であり、本人のやりがいに直結します。

モチベーションは、組織や上司が上げるものではありません。本人が目的を理解し、組織という道具を使ってどんな貢献をするかを自分で決定し、実行するときモチベーションは高まります。人のモチベーションの原点に、目的があることを忘れないようにしたいものです。

佐藤等『ドラッカー教授 組織づくりの原理原則』より

②トライ&エラーの大切さを伝える

トライ&エラーは、人を成長させる確実な方法です。言い訳ばかりする人は、失敗という苦味が、最高の良薬であることを知らないだけです。失敗を前向きに捉えることができるように励まし、共に磨きあっていきましょう。

もちろんトライ&エラーの精神を実践していくためには、失敗を責めない組織文化を醸成する必要があります。トライ&エラーが大切だと説きながら、その実、間違いやミスを許容できない上司がいるのだとすれば、その矛盾が仇となり、組織は崩壊していくことになるでしょう。

リーダーシップの素地として、行動と責任についての厳格な原則、高い成果の基準、人と仕事に対する敬意を、日常の仕事において確認するという組織の文化に優るものはない。

ドラッカー『現代の経営』より

③「成果をあげるにはどうすればいいか」と問う

「なぜできなかったのか」は、本人が自分自身に問えばいいだけのこと。他者からそのような質問をされると、失敗を責められている気持ちになり、ネガティブな感情に支配されてしまいます。そして自分を守るため、言い訳が始まります。

言い訳ばかりする人が、本当に正しい方向を向けるようになるには、第三者が「成果をあげるにはどうすればいいか」と問えばいいのです。「なぜ」ではなく、「どうやって」を問うだけで、思考が創造的になります。

成果を出すためにアイデアを考え、自ら決定し、行動する。このとき人は、真の意味で自由を感じることができます。誰に言われなくとも、自然と責任感がでてくるものです。素直に失敗を受け入れられるようになるでしょう。

人に成果をあげさせるためには、「自分とうまくやっていけるか」を考えてはならない。「どのような貢献ができるか」を問わなければならない。「何ができないか」を考えてもならない。「何を正常によくできるか」を考えなければならない。

ドラッカー『プロフェッショナルの条件』より

④その人の強みに目を向けて自信を持たせる

言い訳ばかりするのは、自分に自信がないことの表れです。あなたが同僚として、あるいは上司として相手と向き合うなら、その人が本来持っている強みに気づかせ、引き立たせなければなりません。

弱みからは何も生まれない。結果を生むには利用できるかぎりの強み、すなわち同僚の強み、上司の強み、自らの強みを動員しなければならない。強みこそが機会である。強みを生かすことは組織に特有の機能である。

ドラッカー『経営者の条件』より

ドラッカーは、強みからスタートせよと言いました。そもそも人は、強みと弱みの両面を持っています。わたしたちは「弱みは克服するもの」とつい考えてしまいがちですが、組織には、人の弱みを帳消し合うという優れた機能があります。

弱みを克服することに時間と労力を注ぐよりも、強みをさらに伸ばすことのほうが、組織の生産性向上に大きな実りをもたらすことでしょう。

さいごに:

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