今回は、前回お伝えしたドラッカー学会と読書会の関係を物語る上田先生の言葉についてです。
2003年4月に読書会を始めて、およそ2年経った2005年11月にドラッカー学会が立ち上ります。両者の関係について上田先生が発した言葉は驚くべきものでした。
当時学会の代表だった上田先生は、2008年のドラッカー学会の年報『文明とマネジメント』の巻頭インタビュー第1ページの最初の質問に対して次のように答えました(以下引用)。
―ドラッカー学会が設立されて3年になる.現状をどう見ているか.
上田:ドラッカーの考え方を継ぎ発展させることに意味があると思う.この活動に意味を感ずる人々は非常に多くいる.
組織の生成とは人為的でありながら,自然的でもある.ドラッカー学会にも原型はあった.2003年4月からドラッカー作品の読書会が開かれていた.そのようなものがあるということが,日本のドラカー学会設立の契機になっていた.札幌の地で行われていたささやかな試みが種子だった.
ドラッカー学会は今なおささやかな存在である.文明を担うのに大仰な理屈は必要ない.少し目線を上にあげればよいだけだ.なすべきことがあり,なす人がいる.それだけで十分である.すべて名もなきささやかな活動である.
会に集う方々に共通するのは,すべてがドラッカーに励まされていることである.端的に言えば,「文明の担い手はあなたである」というメッセージを受け取っている人たちである.文明の担い手は,貴族でも軍人でも政治家でもない.ふつうの新入社員,中堅,課長,部長,社長である.そのようなささやかな人々が世の中をつくっている.
ささやかながらも,大いなるものに連なり,それを担うというメッセージに共鳴する人々がドラッカー学会に集まっている.産業活動に携わる営みの1つひとつが,確実に文明を前に進めていく.このメッセージはさらにもっと多くの人々を動かしうるものと思う.―引用終り
私たちが始めたささやかな試み<読書会>がドラッカー学会を生み出す契機となり、その読書会が今、全国に広がっています。学会設立前から存在する私たちの<読書会>の種子は全国に広がり、今、「実践するマネジメント読書会🄬」と改称され、各地でささやかな活動が生み出されています。
上田先生の言葉を借りると、読書会という場を通じて各地で日々文明が前進しているのです。
私たちの活動は上田先生を通してドラッカー教授に伝わっていました。
今となっては信じられないことです。
上田先生には、機会あるごとに読書会の報告をさせていただいております。
いつも破顔一笑、眼を大きく丸めて「へーそう。結構結構」と嬉しそうに応じてくれます。
上田先生はまさに読書会の育ての親ともいうべき存在なのです。
つづく
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