「事業とは何か」…難敵です。
ドラッカー教授の事業の定義は簡明です。簡明すぎて感銘を受けます。
「事業とは市場において知識という資源を経済価値に転換するプロセスである」
感銘を通り越して感動します。
すべての意思決定がこの定義に関わるものであるはずです。
ここには3つの要素が示されています。
①事業はプロセスである
②そのプロセスに知識という資源と投入する
③そのプロセスから経済価値が生まれる
マネジメント会計と管理会計は別もの
マネジメント会計の目的は、事業に関する情報提供を行なうことです。それは事業プロセスに関するものであり、投入する資源に関するものであり、そこから生まれるアウトプット(経済価値)に関するものでなければ意味がありません。
管理会計が得意とする投資の意思決定(回収の経済計算)/追加受注の意思決定/価格設定の意思決定/撤退の意思決定/アウトソーシングの意思決定などは①~③の一部に断片的に関係しています。しかし残念ながら網羅的ではありません。
私が管理会計とマネジメントに役立つ会計が異なると感じたのは、このあたりの現実を見てもわかるとおり正しかったのです。やはり管理会計はできることだけ行う存在。マネジメントに真に求められているものというアプローチではないのです。
しかしこのことを真に理解したのはほんの数年前です。職業会計人になって20年以上経過していました。ドラッカー教授のマネジメントを学ばなければ、決して知ることのない世界でした。遅きに失した…とも感じましたが、わかって良かったとの安堵の気持ちが大きかったのを鮮明に記憶しています。
さて事業の意思決定に役に立つ会計を考える場合、会計と相性が最も良いのは事業というプロセスから生れる「経済価値」です。マネジメントの役に立つ会計の入り口といっても過言ではありません。次回この入口から入って行きたいと思います。
(つづく)
「会計事務所では教えない?経営者のためのマネジメント会計入門」連載記事
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