マネジメントとは何か―ドラッカー教授から学ぶ実践に不可欠な<マネジメントの原理>【第22回】イノベーションとは変化の中に機会を見つけることである


さて、引続きイノベーションに関する原理を取り上げます。廃棄というイノベーションの重要な準備段階の次に必要なのは変化の中にイノベーションの機会を見つけることです。変化はイノベーションの母です。変化を探すことからイノベーションは始まります。イノベーションのステップの最初は、機会の探索です。

<マネジメントの原理26>
変化の中にイノベーションの機会を見出す

ここで重要なことは、「変化」と「機会」を区別することです。変化はニュートラル(中立性)です。その変化はわが社にどんな影響を与えるかが重要です。

ドラッカー教授はイノベーションの機会を探す視点として以下に示す「7つの窓」というツールを提示しました。同じ現実を見ても覗き込む窓の形状によって見えるものが違うのです。これら7つのツールはすべて網羅的に用いることです。一つの現実を見るのに複数の窓が役に立つことがあるという意味です。

イノベーションの7つの窓―窓が変われば見える現実が異なる

①予期せぬことを探す
②ギャップを探す
③ニーズを見つける
④産業構造の変化を知る
⑤人口構造の変化を活用する
⑥認識の変化をとらえる
⑦新しい知識を活用する

さてマネジメントの原理です。
イノベーション機会は成功の可能性の高い順に探索する
<マネジメントの原理27>

この原理は重要です。イノベーションの機会を探索する7つの窓は、実行リスクがより小さい順に並んでいるからです。リスクの少なさは、リードタイムの短さでもあります。つまりイノベーションの実現までにかかる時間がより少なくてすむことを意味しています。それは、人材をはじめとした経営資源の生産性に関わる問題でもあります。

たとえば、①「予期せぬことを探す」のなかには、「予期せぬ成功を探す」が含まれています。予期せぬ成功とは、一度以上の成功、すなわち取引などが完了していることを意味します。他の機会がまだ商品化に至っていないということを考えると格段に成功の可能性が高いといえます。

したがってもし「予期せぬ成功」に出合ったら、たまたまの成功を常なる成功に変えることです。再現性を高めると言ってもよいでしょう。

②ギャップもすでに課題が明確であるという意味で可能性が高い機会となります。ビジネスプロセスの欠陥が具体的に一つ明確に解っているものは、イノベーションの機会となりえます。もしその解決法がみつかれば業界のすべての人が飛びつくようなビックな機会になります。

この原理の教えるところに従えば、「成功の可能性が高い順に徹底的に機会を探索すること」が重要です。新しい知識の活用などは後回しでよいことが解ります。本気でイノベーションを起こそうとしたら、これは大切な原理です。

原理のマネジメントが必要な理由

第1回目は、原理がマネジメントにいかに必要かについて触れています。<方法ではな<原理を手にすること>の大切さについては何度も確認して欲しいと思います。

 

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佐藤 等
<実践するマネジメント読書会🄬>創始者。『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズ5冊の著者。 ドラッカー学会理事。 マネジメント会計を提唱する佐藤等公認会計士事務所所長/公認会計士・税理士。 ナレッジプラザ創設メンバーにして、ビジネス塾・塾長。 Dサポート㈱代表取締役会長。 ドラッカー教授の教えを広めるため、各地でドラッカーの著作を用いた読書会を開催している。 公認ファシリテーターの育成にも尽力し、全国に約70名のファシリテーターを送り出した。 誰もが成果をあげながら生き生きと生きることができる世の中を実現するため、全国に読書会を設置するため活動中。 編著『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズは、20万部のベストセラー。他に日経BP社から『ドラッカーを読んだら会社が変わった』がある。 自身のブログ<ドラッカリアン参上>は連続投稿4000日以上を達成して続伸中雑誌『致知』に「仕事と人生に生かすドラッカーの教え」連載投稿中

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