入手困難な小著『オートメーションと新しい社会』から コンセプトメーカーとしてのドラッカー


ドラッカー教授は、1955年に『オートメーションと新しい社会』を世に出しました。
本書は絶版で、100ページ未満と小規模であることもあり入手困難となっており、筆者も唯一入手していない著書です。ドラッカー全集第5巻『経営哲学編』に収録されていますので、そこで読むことができました。

主題は、オートメーションの本質的理解を深め、加えて新しい社会の描写として11の政治問題を取り上げ、これらが社会に与える影響を考察しています。

この著作の前半をオートメーションにあてた教授は、10年前(1945年頃)、フォード自動車の副社長デル・ハーダーがオートメーションという造語を作ったことを指摘しました。

教授は、『現代の経営』(1954)にも記載のあるオートメーションの三つの原理を説明しました。
すなわち以下3つの原理です。
①経済活動全体を一つの行程とみなす原理
②経済現象の変動は一見きわめて無軌道であり、予測しがたいものではあるが、その背後には一定の基準、一定の秩序、一定の形態が存在するという原理
③自己統制(フィードバック)の原理

オートメーションとは純粋に技術的なものではなく、複数の原理を合わせた一つのコンセプトであることがわかります。ドラッカー教授は、このようにして生まれたコンセプトも道具であると位置づけました。一つのコンセプトが生まれ、道具として世の中に広がり定着していきます。

ドラッカー教授は、コンセプトに注釈をつけ、ときにコンセプトを転換し、コンセプトを生み出しました。

コンセプトに注釈をつけた例として「オートメーション」「大量生産」などがあり、コンセプトを転換した例として「マネジメント」「マーケティング」などがあります。また、自らコンセプトを生みだした例として「知識労働」「社会生態学」などがあります。

新しい現実が目の前に現れれば、それを説明し、名前をつけ、世に広める。それがドラッカー教授の生涯にわたって成した仕事の本質でした。

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佐藤 等
<実践するマネジメント読書会🄬>創始者。『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズ5冊の著者。 ドラッカー学会理事。 マネジメント会計を提唱する佐藤等公認会計士事務所所長/公認会計士・税理士。 ナレッジプラザ創設メンバーにして、ビジネス塾・塾長。 Dサポート㈱代表取締役会長。 ドラッカー教授の教えを広めるため、各地でドラッカーの著作を用いた読書会を開催している。 公認ファシリテーターの育成にも尽力し、全国に約70名のファシリテーターを送り出した。 誰もが成果をあげながら生き生きと生きることができる世の中を実現するため、全国に読書会を設置するため活動中。 編著『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズは、20万部のベストセラー。他に日経BP社から『ドラッカーを読んだら会社が変わった』がある。 自身のブログ<ドラッカリアン参上>は連続投稿4000日以上を達成して続伸中雑誌『致知』に「仕事と人生に生かすドラッカーの教え」連載投稿中

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