【必要な会議】会議が多くて仕事の時間がとれません【無駄な会議】

【必要な会議】会議が多くて仕事の時間がとれません【無駄な会議】
\記事の監修者/

清水 祥行(しみず よしゆき)

1968年、兵庫県西宮市うまれ。同志社大学卒。
Dサポート株式会社代表取締役、
ナレッジプラザ・ドラッカー読書会認定ファシリテータ、
一般財団法人しつもん財団認定ビジネス質問家、
経済産業省登録中小企業診断士(平成8年登録)。
楽天大学にて「もし楽天店舗さんがドラッカーのマネジメント論を学んだら」講師を務める。

必要な会議と無駄な会議をどうやって整理すればよいでしょうか。

会社の役員をやっています。最近、会議ばかりに時間がとられるようになってしまい、本来やるべき仕事に時間を割けなくなってしまいました。「会議の回数や時間を削りたい」とは考えているものの、取捨選択がなかなかできず……どのように整理していけばいいでしょうか?

「例外的な問題」にのみ集中しましょう。

マネジメントの父・ドラッカーは、理想的な組織を「会議のない組織」と考えました。いわゆる“無駄な会議”が多くなってしまうのは、その会議が本当に必要であるかどうかを精査せず、惰性慣行、あるいは責任逃れのために会議を開いてしまうからです。現場レベルで完結する話を、わざわざ全体で共有する必要はありません。会議で意思決定が必要な場面というのは、実はそう多くはないはずなのです。

「成果をあげる者は、さほど多くの決定は行わない。重要な決定に集中する。意思決定にかける時間を間違う者もいる。重要な決定に時間をかけずに、意味のない、しかも易しい決定に時間をかけている」

ドラッカー『非営利組織の経営』より

まずは会議でどれだけの時間をとられているか客観的に把握するために、「時間の記録」をとってみましょう。そのデータがあれば、無駄な会議をやめる説得材料になります。

「時間の記録を一瞥(いちべつ)しただけで、重要なこと、したいこと、自らの責任でなすべきことに使える時間のまったくないことがあまりに明白になる」

ドラッカー『経営者の条件』より

わたしの知っている、ある営業マンの方は、日々の活動を記録してみた結果、なんと営業よりも会議に時間をとられていることに気が付いたといいます。早速彼は「時間の記録」を上司に見せて、会議の改善を実現しました。

もしあなたが会議の開催について決裁権を持っているなら、会議で扱っている内容が「一般的な問題」なのか「例外的な問題」なのかを区別して、重要な決定にのみ会議を集中させるようにしましょう。

「まず初めに、一般的な問題か例外的な問題か、何度も起こることか個別に対処すべき特殊なことかを問わなければならない。基本的な問題は、原則と手順を通じて解決しなければならない。これに対し例外的な問題は、状況に従い個別の問題として解決しなければならない」

ドラッカー『経営者の条件』より
一般的な問題
  • 自分にとっては例外的でも世の中では一般的な問題
  • 自分にとっても世の中でも一般的な問題新しい種類の一般的な問題
  • 新しい種類の一般的な問題
例外的な問題そうそう生じるものではないが、発生した場合に個別対処する必要がある“真に例外的な問題”
清水
清水

具体的に「一般的な問題」と「例外的な問題」を峻別すると次のようになります。

①自分にとっては例外的でも世の中では一般的な問題

企業買収、社屋売却、事業承継は、「自分がはじめて直面」する問題かもしれませんが、世の中的には珍しい問題ではなく、日常茶飯事レベルです。その手の問題解決に精通している専門家に相談することが、解決への一番の近道となります。

②自分にも世の中にも一般的な問題

貸し倒れ、クレーム対応、残業削減など。これらの諸問題は、ルールや規則の範囲内で対応することが十分に可能です。わざわざ会議を開いて意思決定を確認する必要はありません。

③新しい種類の一般的な問題

加速するIT化や、価値観の変化といった時代の流れを受けて、これまで当たり前でなかったコト・モノが当たり前になったり、常識が非常識になったりすることがあります。顧客名簿流出、LGBT、マイナンバー、マタニティハラスメントなどがその一例です。これらの諸問題に直面した際は、的確に意思決定を行う何らかの基準が不可欠です。ゆえに、ルールづくりのための会議を開く必要があるといえます。

④真に例外的な問題

たとえば天変地異や特殊な災害など、そうそう起きることではないようなシチュエーションに置かれた際は、そのときにしかできない個別具体的な意思決定を行い、解決策を練る必要があります。当然、このようなケースでは緊急会議をしなければなりません。

問題が起こる=即みんなで共有・相談」という発想が、無駄な会議を増やしてしまう原因です。まずは客観的に問題の種類を整理してみてください。案外、会議なしで解決できることの多さに気が付くはずです。

最後に:ドラッカーを学んでみたい方へ

今回のアドバイスで引用したP. F. ドラッカーは、“マネジメントの父”や”経営の神様”と称され、20世紀の経営学に多大な影響を与えた人物です。

ドラッカーの言葉に励まされ、影響を受けた経営者は数え切れないほどいます。国内だけでなく、世界中でも、ドラッカーを経営に活かした実例は無数に存在します。

もし今回のQ&Aで少しでもドラッカーに興味を持たれたなら、ぜひ一度、ドラッカーのオンライン読書会に参加してみてください。経営者や個人事業主の方はもちろんのこと、学生や会社員/役員の方の参加も大歓迎です。この読書会を通じて、普通では知り合えないような人とつながることもできますよ。

ドラッカーは“拾い読み”をするよりも、一冊の本を読み込み、体系的に学んだほうが、より効果的にビジネスに活かすことができます。

読書会では、ドラッカーの実践によって業績改善やイノベーションを実現できた先輩が、自らの実体験をもとにアドバイスしてくれます。

「小手先の経営テクニックだけじゃ通用しないと痛感した」「どんな波風にも動じない信念を身につけたい」「経営の普遍的な原理原則が知りたい」という方は、ドラッカーのオンライン読書会で新しい発見や気づきを得られるかもしれません。

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