Biz Clipというサイトに私が監修する<実例で学ぶ!ドラッカーで苦境を跳ね返せ>というドラッカー・マネジメントの実践者の連載記事が載っています。一連の記事はドラッカー教授の言葉を経営に用いて成果をあげた実践例です。
テーマは失った信用を挽回するための哲学です。
この事例から人のマネジメントの領域について次の点などを学ぶことができます。
<ポイント>
・マネジャーのもつべき真摯さとは何か
・価格ではなく価値—真の顧客創造とは何か
ドラッカーの言葉
商人とその顧客、自由業者とその顧客の間に必要とされているものは、仕事上の真摯さにすぎない。しかし経営管理者であるということは、親であり教師であるということに近い。そのような場合、仕事上の真摯さだけでは十分ではない。人間としての真摯さこそ、決定的に重要である」
『現代の経営[下]』
佐藤等の解説
顧客に向ける真摯な態度、それも確かに重要である。ドラッカーは、プロたる者は「知りながら害をなすな」と、著書『マネジメント』で説く。自社の工事に欠陥を見つけた工務店が、顧客が気付かなくてもやり直すといったことは「仕事上の真摯さ」の一例だ。
しかし経営管理者、すなわちマネージャーの持つべき真摯さはこれと異なる。親であり教師であれと、ドラッカーは説く。部下の人生に関わる存在であれということだ。真摯さのない者をマネージャーにすれば、部下の成長を阻害し、やがて人と組織を破壊する。
今回の都田建設の物語でカギを握る創業者は、後者の意味においても真摯だった。その真摯さは、次世代に伝わった。
創業者の後を継いだ蓬台(ほうだい)氏も、真摯さをもって社員と顧客に向き合った。そこから生まれたポリシーが「自社が建てた住宅にトラブルがあれば必ず、1時間19分以内に駆け付ける」。その姿勢が顧客の支持を得て、会社は発展した。逆にトップマネジメントの真摯さが途切れれば、組織は終わる。
事例をお読みになる際には「マネジメント体系」を意識して読むと理解が深まります(拙著『ドラッカーを読んだら会社が変わった』日経BP社p.207)。
現在第20回以降の記事を活用した新刊を企画中です。お楽しみに。
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