利益に関する原理が続いていますが、今日でいったん締めくくります。今日の原理は、仕事のマネジメントに通じるものです。
<マネジメントの原理20>
利益の増減に関係するのはコストではなく活動である
「利益を生むためにコスト管理を徹底せよ」という言葉を使いがちですが間違いです。えっ!と思い人も多数かと思います。どういう意味なのか?この謎を解くには<売上、コスト、利益、活動、資源>の関係を整理してみれば解ります。
常識を変える-コスト管理ではなく活動管理を重視する
売上高 ― コスト = 利益 これは誰でも解る関係です。しかしコストが売上を生むわけではありません。売上を生むのは活動です。活動の良否が売上を生みます。
たとえば新商品を販売するために仕入をして、新しい営業マンを雇ったとします。その彼は、営業経験はあるものの飛び込み営業というスタイルにまったく対応できずに、売上をまったくあげられないで3か月経過したとします。3か月分の給料と販売費というコストは何も生まず、その分、損失となります。仮に3か月で新規事業撤退を決めたとすると在庫分も損失になります。
コストをかけたから売上があがるのではなく、優れた活動があるから売上があがるのです。活動には資源が必要です。資源を使うとコストになります。コストは何も生まない活動にもかかります。
繰り返します。コストは何も生まない活動にもかかります。したがってコストを管理しても売上があがるわけではありません。販売やマーケティングに関する活動が売上の多寡を決めます。売上だけが投下したコストを回収することができます。投下したコストを売上が上回れば利益がでます。コストを抑えて利益をだすという発想は短絡的です。どんな活動に対するコストなのかが重要です。
それゆえ、コスト管理ではなく活動管理を行うことが重要です。
この点、ドラッカー教授が著書の中で紹介しているパレートの法則(2:8の原則)がとても役にたちます。全体の数値の大部分は、全体を構成するうちの一部の要素が生み出しているという法則で、多くの社会現象にあてはまるという経験則です。
たとえば、商品の売上の8割は全商品のうちの2割のアイテムで生み出しているというものです。これを活動管理に応用します。すなわち20%程度の活動の種類が80%程度の活動量をしめると考えることができます。パレートの法則を用いれば、どの活動を重点的にマネジメントすればよいのかがわかるということです。
<マネジメントの原理21>
コスト管理ではなく、活動管理を重視する
一度頭をクリアにして、<売上、コスト、利益、活動、資源>の関係を整理してみましょう。大切なものが見えてくるはずです。
原理のマネジメントが必要な理由
第1回目は、原理がマネジメントにいかに必要かについて触れています。<方法ではな<原理を手にすること>の大切さについては何度も確認して欲しいと思います。
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