『マネジメント』初心者が実際に読んでまとめてみた(7)企業の目的は〇〇!?その意外な理由とは(Ⅰ部:第6章「企業とは何か」要約)

『マネジメント』初心者が実際に読んでまとめてみた(7)企業の目的は〇〇!?その意外な理由とは(Ⅰ部:第6章「企業とは何か」要約)

本記事は、初めてドラッカーの『マネジメント』を読んだライター石山が、1章ごとに内容をまとめながら、気づきや発見を共有する企画シリーズです。

『マネジメント』初心者が実際に読んでまとめてみた(7)企業の目的は〇〇!?その意外な理由とは(Ⅰ部:第6章「企業とは何か」要約)

『マネジメント』の内容を解説したサイトはさまざまですが、実際のドラッカーの文章を引用しながらまとめているのは、本記事ならではの試みです!

「ドラッカーが実際にどんなことを書いているのか、本物の文章を読んでみたい」

「他サイトはコンパクトにまとめられ過ぎていて、“なぜ”そうなったのかよくわからない」

「聞きかじった内容をまとめているだけのサイトが多い気がする……」

「もっと真面目に『マネジメント』を勉強したいけど、自分で読み解く自信がない」

このような方は、ぜひ本記事を読んでみてください。大学のゼミのレジュメを読むつもりで、一緒に学んでいきましょう♪

(1)「企業は利益を動機としている」は大間違い!企業の目的とは?

(1)「企業は利益を動機としている」は大間違い!企業の目的とは?

利潤動機なるものは、的はずれであるだけでなく害を与える。このコンセプトゆえに、利益の本質に対する誤解と、利益に対する根深い敵意が生じている。この誤解と敵意こそ、現代社会における危険な病原菌である。

『マネジメント 課題、責任、実践(上)』ドラッカー名著集 13/P.F.ドラッカー/訳:上田 惇生/p. 72

最近の企業人は利益について弁解ばかりしている。しかし、利潤動機や利潤極大化などのナンセンスをいっているかぎり、利益を正当化することはできない。

社会と経済にとって必要不可欠なものとしての利益については、弁解など無用である。企業人が罪を感じ、弁解の必要を感じるべきは、経済活動や社会活動の遂行に必要な利益を生むことができないことについてである。

『マネジメント 課題、責任、実践(上)』ドラッカー名著集 13/P.F.ドラッカー/訳:上田 惇生/p. 8

これまでみてきたように、ドラッカーは企業が社会に対して責任を持つ存在だと何度も繰り返し述べてきました。

みずからの事業で社会の発展に寄与し、従業員・顧客共々を幸せにする。そうであり続ける限り、企業は社会に必要とされる存在なのだ――ドラッカーはそのようにして企業の存在意義を確保します。

そして、企業が社会に貢献していくためには、当然ですが資源(カネ)が必要になりますよね。

だからドラッカーは、企業が利潤を得ることは何ら後ろめたいことではなく、社会に貢献するためには不可欠であると強調するのです。

しかし、経済学という学問は、企業のことを「利潤の極大化を目指して生産活動する」存在として定義します。とくに20世紀初頭に登場したミクロ経済学は非常に顕著です。

それはある意味、仕方なかったのかもしれません。効用関数などの数理モデルを分析道具とする近代経済学は、定量化のしやすい「利潤」にどうしても目がいきがちになってしまうのです。

それに対しドラッカーは、「利潤」こそが企業の唯一の動機であるとする経済学の考え方を強く批判します。

なぜならその定義は、あたかも企業が、利己的な動機(利潤動機)にのみ従っているように思われてしまうからです。

その誤解を放置しておくと、「利益を得ることは悪徳だ」となりかねません。

もしかしたら、「資本主義 VS 社会主義」という二項対立の図式も、多くの人たちが「企業とは何か」にちゃんと答えることができなかったことに深い原因があるのかもしれませんね。

企業とは何か――この問いに大いなる責任を持っているのは、まさに企業自身なのでしょう。

「企業とは何か」の裏返しは、「企業の目的は何か」です。

繰り返しになりますが、ドラッカーは企業の目的を「顧客」に見出します。

企業の目的の定義は一つしかない。それは顧客の創造である。


『マネジメント 課題、責任、実践(上)』ドラッカー名著集 13/P.F.ドラッカー/訳:上田 惇生/p. 73

顧客こそが企業の基盤である。顧客こそが企業を存続させる。顧客こそが雇用を生み出す。その顧客の欲求とニーズに応えさせるために、社会は富を生み出す資源を企業に負担する。


『マネジメント 課題、責任、実践(上)』ドラッカー名著集 13/P.F.ドラッカー/訳:上田 惇生/p. 74

世界中の企業が、ドラッカーの考える「企業とは何か」に明確に答えることができる世の中になれば、“良き資本主義”の真の姿が見えてくるのかもしれませんね。

(2)企業を存続させるのは「マーケティング」と「イノベーション」

(2)企業を存続させるのは「マーケティング」と「イノベーション」

企業の目的が顧客の創造であるならば、どうやってそれを成し得るのでしょうか。ドラッカーはそのための方法として、「マーケティング」と「イノベーション」の2つを挙げています。

企業の活動とは、マーケティングとイノベーションによる顧客の創造である。


『マネジメント 課題、責任、実践(上)』ドラッカー名著集 13/P.F.ドラッカー/訳:上田 惇生/p. 90

(2-1)真のマーケティングとは「顧客からスタートする」こと

みなさんは、マーケティングをするときに何を考えていますか?

言い方を変えると、どの視点から発想をスタートさせていますか?

もしかしたら多くの方は、「この商材ができることは〇〇だ」という製品志向の考え方をしているのかもしれません。

ドラッカーに言わせると、その発想は「販売」の域に留まるものであり、真のマーケティングではありませんでした。

では、真のマーケティングとは何なのでしょうか。

これに対し真のマーケティングとは、シアーズが顧客の人口構造、顧客の現実、顧客のニーズ、顧客の価値からスタートしたように、顧客からスタートする。「われわれは何を売りたいか」ではなく、「顧客は何を買いたいか」を考える。「われわれの製品やサービスにできることはこれである」ではなく、「顧客が見つけようとし、価値ありとし、必要としている満足はこれである」という。


『マネジメント 課題、責任、実践(上)』ドラッカー名著集 13/P.F.ドラッカー/訳:上田 惇生/p. 78

自社の製品からスタートするのか、顧客からスタートするのか。

2つのささいな違いですが、それはドラッカーにとって重要な違いだったのです。

マーケティングとは、企業の成果すなわち顧客の観点から見た企業そのものである。


『マネジメント 課題、責任、実践(上)』ドラッカー名著集 13/P.F.ドラッカー/訳:上田 惇生/p. 76

それは、企業の目的が顧客創造であるとするドラッカーならではの発想だといえるでしょう。

(2-2)真のイノベーションとは「新しい満足を創造する」こと

ライフスタイル、価値観、流行、人口動態、世界情勢など……これらの要素から複雑に構成されている現実の市場は、日々刻々と変化し続けています。

だからこそドラッカーは、この“動的な”世界において企業が存続するためには、マーケティングの他に「イノベーション」が不可欠だと説きます。

静的な経済には、企業は存在しえない。企業人さえ存在しえない。そこに存在しうるものは、手数料をもらうだけのブローカーか、何の価値も生まない投機家である。

企業が存在しうるのは、成長する経済においてのみである。あるいは少なくとも、変化を当然とする経済においてのみである。そして企業こそ、この成長と変化のための機関である。


『マネジメント 課題、責任、実践(上)』ドラッカー名著集 13/P.F.ドラッカー/訳:上田 惇生/p. 79

では、ドラッカーにとってイノベーションとは何なのでしょうか。

それは、「新しい満足を生み出すこと」でした。

「生産的なイノベーションとは、単なる改良ではない。それは新しい欲求の満足をもららす財とサービスの創造である。」


『マネジメント 課題、責任、実践(上)』ドラッカー名著集 13/P.F.ドラッカー/訳:上田 惇生/p. 80

世界が絶え間なく変わり続けているのだとしたら、人々の欲求や満足も、きっと変化し続けているはずです。

だとしたら、企業は常に「いま顧客は何を求めているのか」という視点を持ち続け、顧客がまだ自覚していないレベルにまで欲求を掘り下げていく必要があるでしょう。

まさにそれが、ドラッカーのいうイノベーションなのですね。

まとめ:「企業をマネジメントする」とは何か

今回は、「企業とは何か」という非常に本質的な問いについて取り上げました。

この問いは、ドラッカーのマネジメント哲学を理解するための重要なエッセンスとなっています。

Ⅰ部:第6章の最後にドラッカーは、「企業をマネジメントするとは何か」という問いかけを行いました。

ヒントは、「企業とは何か」という問いに隠されています。

今回の記事を読んだみなさんは、どう考えますか?

答えを知りたい方は、ぜひ札幌の大通りにある「ナレッジプラザ」の「実践する読書会」で確認してみましょう!

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