P.F.ドラッカーはマネジメントの発明者と評されています。しかしマネジメントという言葉はドラッカー以前に存在していました。正しく言い直すとドラッカー教授は、マネジメントを再定義した人ということになります。
管理会計をマネジメント会計と訳すことに、私が違和感を覚えたのは、ドラッカー教授の著作に触れてからです。結果として私は管理会計とマネジメントに役立つ会計は別物であると結論を下しました(前回)。
違和感の原因は目的の違いにありました。
管理会計の最大の目的は経営者の意思決定の役に立つことにあるといえるでしょう。その他にも業績評価、コスト管理などあげることもあります。
しかし、どんな意思決定の役に立つのでしょうか。
投資の意思決定(回収の経済計算)/追加受注の意思決定/価格設定の意思決定/撤退の意思決定/アウトソーシングの意思決定…
何か違う…
管理会計は、限定された領域の個別の意思決定にしか役に立たないのではないか…そんな疑問がムクムクと広がりました。
財務会計は意思決定の役に立たない
ちなみに私たち会計事務所が提供する情報は財務会計です。
驚かれるかもしれませんが、これは経営の意思決定にはほとんど役に立ちません。なぜなら投資家に対する情報提供を第一の目的として作られているからです。
「A社よりもB社に投資した方がリターンは多そうだ」というような投資の意思決定に役立つようにできています。一定の処理と表示のルールが定められているのは、会社間で比較が容易に可能にするためです。さて本線に話を戻します。
経営者がマネジメントする際に真に必要な意思決定とは何か。
ここからスタートしなければ真に意思決定に役立つ会計情報にならないハズです。
これを考えるにはマネジメントの役割から考えなければなりません。
「マネジメントの役割とは何か」
答えられそうで以外に答えられない問いでもあります。ドラッカー教授はマネジメントの役割を3つ挙げています。長くなりますので今日はここまで。
(つづく)
「会計事務所では教えない?経営者のためのマネジメント会計入門」連載記事




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