マネジメント[エッセンシャル版]要約とドラッカー学会理事の解説を紹介

マネジメント[エッセンシャル版] 各章と主要な見出しの紹介

【目次】
日本の読者へ
まえがき - なぜ組織が必要なのか

 序 - 新たな挑戦

 Part1 マネジメントの使命
     1.マネジメントの役割  

  第1章 企業の成果
     2.企業とは何か
     3.事業は何か
     4.事業の目標
     5.戦略計画

  第2章 公的機関の成果
     6.多元社会の到来
     7.公的機関不振の原因
     8.公的機関成功の条件

  第3章 仕事と人間
     9.新しい現実
     10.仕事と労働
     11.仕事の生産性
     12.人と労働のマネジメント
     13.責任と保障
     14.「人は最大の資産である」

  第4章 社会的責任
     15.マネジメントと社会
     16.社会的影響と社会の問題
     17.社会的責任の限界
     18.企業と政府
     19.プロフェッショナルの倫理 - 知りながら害をなすな

 Part2 マネジメントの方法
     20.マネジメントの必要性

  第5章 マネジャー
     21.マネジャーとは何か
     22.マネジャーの仕事
     23.マネジメント開発
     24.自己管理による目標管理
     25.ミドルマネジメント
     26.組織の精神

  第6章 マネジメントの技能
     27.意思決定
     28.コミュニケーション
     29.管理
     30.経営科学

  第7章 マネジメントの組織
     31.新しいニーズ
     32.組織の基本単位
     33.組織の条件
     34.五つの組織構造
     35.組織構造についての結論

 Part3 マネジメントの戦略
     36.ドイツ銀行物語

  第8章 トップマネジメント
     37.トップマネジメントの役割
     38.トップマネジメントの構造
     39.取締役会

  第9章 マネジメントの戦略
     40.規模のマネジメント
     41.多角化のマネジメント
     42.グローバル化のマネジメント
     43.成長のマネジメント
     44.イノベーション
     45.マネジメントの正統性

  結 論 
  付 章 マネジメントのパラダイムが変わった

 

ドラッカー学会理事 佐藤等先生による『マネジメント[エッセンシャル版]』紹介

2009年12月『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』(通称「もしドラ」)という長いタイトルの書作が出版され、300万部に迫るメガトン級のベストセラーになりました。同書の販売実績にともない主人公の川島みなみが手に取ったエッセンシャル版『マネジメント』も100万部販売実績を残しました。「もしドラ」以前には、10万部程度の販売実績ですから、「もしドラ」効果で90万部ともいえます。

しかし、せっかくのエッセンシャル版『マネジメント』も途中で読むのをあきらめ、書棚の隅に寂しく鎮座しているという方も多いのもまた現実です。

エッセンシャル版『マネジメント』は、1975年に『抄訳マネジメント』として出版されたものの新訳版です。その抄訳のもととなったのが、1973年に出版された『マネジメント』です。ドラッカー教授の快諾を得て抄訳化したのが故上田惇生先生です。

今回は、書棚の隅から引っ張りだして、再度、読んで頂きたく、そのきっかけとして要約や実践ポイントを付して公開しました。

佐藤先生による『マネジメント[エッセンシャル版]』要約ポイントはこちら

ドラッカー教授は「マネジメントは体系である」といいます。
それは、断片的な知識では役に立たないということです。教授が出版した著作は40冊に迫りますが、マネジメントの体系を理解できる著作は少数です。本書は、その中でも最もコンパクトにまとめられた著作です。ぜひ体系としてマネジメントを修得するための入門書として同書を活用してください。この記事がそのお役に立てることを念願しております。

 

ドラッカー学会理事 佐藤等先生が選ぶ『マネジメント[エッセンシャル版]』名言

ドラッカーの本を読むとき、大きなキーとなるドラッカーの名言たち。
佐藤先生がまとめる「ドラッカー名言」を各節ごとに紹介したいと思います。これだけでも、マネジメント[エッセンシャル版]のポイントが見えてくると思いますよ。

 

序:「20世紀の初めには、『お仕事は何ですか』と聞いたが、今日では『お勤めはどちらですか』と聞く」

Part1:「マネジメントには、自らの組織をして社会に貢献させるうえで3つの役割がある」

  ①自らの組織に特有の使命を果たす。

  ②仕事を通じて働く人を生かす。

  ③自らが社会に与える影響を処理するとともに、社会の問題について貢献する。

第1章

企業とは何か:「企業の目的は、それぞれの企業の外にある。企業は社会の機関であり、その目的は社会にある。企業の目的の定義は一つしかない。それは顧客を創造することである」

事業は何か:「あらゆる組織において、共通のものの見方、理解、方向づけ、努力を実現するには、『われわれの事業は何か。何であるべきか』を定義することが不可欠である」

事業の目標:「事業の定義は、目標に具体化しなければならない」

戦略計画:「未来は、望むだけでは起こらない。そのためには、いま意思決定をしなければならない。いま行動し、リスクを冒さなければならない。必要なものは、長期計画ではなく戦略計画である」

 

第2章
多元社会の到来:「サービス機関は、(中略)現代社会の支柱である。社会の構造を支える一員である。社会や企業が機能するには、サービス機関が成果をあげなければならない」

公的機関不振の原因:「あらゆるサービス機関が守るべき原則は、『現在行っていることは永遠に続けるべきものである』ではなく、『現在行っていることは、かなり近いうちに廃棄すべきものである』でなければならない」

公的機関の成功条件:「公的機関にも種類があり、種類が違えば構造も違ってくる。だがあらゆる公的機関が、次の6つの規律を自らに課す必要がある」

新しい現実:「今日、労働人口の中心は肉体労働者から知識労働者へと移った。あらゆる先進国で、労働人口のますます多くが、手だけを使って働くことをやめ、知識、理論、コンセプトを使って働くようになった」

仕事と労働:「マネジメントは、生産的な仕事を通じて、働く人たちに成果をあげさせなければならない」

仕事の生産性:「自己実現の第一歩は、仕事を生産的なものにすることである」

人と労働のマネジメント:「日本企業、ツァイスのアッベ、IBMのワトソンは、働くことのマネジメントの基礎として『責任』の組織化を行なった」

責任と保障:「必要なのは収入の保証だけではない。積極的かつ体系的に仕事を与える仕組み、すなわち働く者を社会の生産的な一員にする仕組みである」

「人は最大の資産である」:「マネジメントのほとんどが、あらゆる資源のうち人がもっとも活用されず、その潜在能力も開発されていないことを知っている」

 

第4章

マネジメントと社会:「社会的責任は回避できないことも明らかである。社会が要求しているからではない。社会が必要としているからでもない。な現代社会にはマネジメント以外にリーダー的な階層が存在していないからである」

社会的影響と社会の問題:「社会の問題の解決を事業上の機会に転換することによって自らの利益とすることこそ、企業の機能であり、企業以外の組織の機能である」

社会的責任の限界:「いかなる組織といえども、本来の機能の遂行という最大の責任を果たさないならば、他のいかなる責任も果たせない」

企業と政府:「政府と企業はそれぞれ自らの領域の仕事を遂行していかなければならない。しかもそれらの仕事のうち、政府と企業が協力して取り組むべきものと、個別に取り組むべきもとを見分けなければならない」

プロフェッショナルの倫理―知りながら害をなすな:プロフェッショナルにとっての最大の責任は、(中略)「知りながら害をなすな」である。

医師、弁護士、組織のマネジメントのいずれであろうと、顧客に対し、必ずよい結果をもたらすと保証することはできない。最善を尽くすことしかできない。しかし、知りながら害をなすことはしないとの約束はしなければならない。

『マネジメント[エッセンシャル版]』の効果的な読み方

佐藤先生が解説で述べているように、『マネジメント[エッセンシャル版]』を手に取っても、途中であきらめてしまう人が多いのは確かかもしれません。

しかし、佐藤先生がまとめた各節ごとの「実践ポイント」と「実践のための問い」を念頭において読み進めていくと、横道にそれず、ドラッカーが伝えるマネジメントの基本と原則を読み解くことができるはず。

「もしドラ」のみなみちゃんが、

「これってどういう意味?」
「現実にあてはめるとどういうことになるの?」

と悩んでいた部分のヒントが、佐藤先生が解説する「実践ポイント」と「実践のための問い」で明確になるはずです。

『マネジメント[エッセンシャル版]』をこれから読む人も、再度挑戦してみようと考えている人も、佐藤先生の「実践ポイント」と「実践のための問い」を参考にして欲しいと思います。

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