本を読むメリットとは?読書の効果を高めるコツやアウトプット方法を解説します。

本を読むメリットとは?読書の効果を高めるコツやアウトプット方法を解説します。

ドイツの作家ヘルマン・ヘッセは、「美しい絨毯が床を、高価な壁掛けと絵が壁を飾っていようとも、本のない家は貧しい」といった。読書で得られるものは大きい。本を読むことは一生の財産である。本との出会いは、一人の師との出会いに匹敵する。

この記事では、全国で読書会を主催する「Dラボ」が、本を読むメリットを解説するとともに、本を読むのが苦手でも読書習慣を身につけ、確実に自己成長するアウトプット方法を紹介する。

もともと読書が得意でなかった筆者が読書嫌いの人に向けてアドバイスするので、この記事は必ずあなたの役に立つはずだ。

この記事は、本を読むことに対する苦手意識が吹き飛び、明日すぐに書店に行って本を手に入れたくなるような内容となっている。

  • 読書は学校では教えてくれなかった「頭がよくなる」トレーニング
  • 読書をすれば相手からの印象が変わる
  • 読書は事例の宝庫なのでプレゼンにも役立つ
  • 面白くなかったらすぐに読むのをやめていい
  • 15分読書から始めると継続する
  • 頭がよくなる読書の仕方は「アウトプット」

上記の内容に興味があるなら、あなたには一読の価値があるはずだ。記事の終盤では、どんな本を読めばいいかわからない人のために、読書会でも人気のおすすめ本を紹介するので、ぜひ最後まで読んでほしい。

目次

本を読むメリット8つ

読書は人生の質を高めてくれる。本を読むことで得られるメリットを8つ紹介しよう。

①知識が増えて世界が広がる

知識があればあるほど、世の中の見方が深まる。たとえば紛争の本を読めば、これまで流し聞いていたニュースの受け取り方が違ってくるはずだ。金融経済の知識を豊かにすれば、円安・輸入・物価の関連性がクリアーに見えてくるだろう。

知識は、わたしたちの認識世界に豊かな色彩を与えてくれる。知識は関心を刺激し、次なる行動へと促す。

人間の認知には「可塑性」(かそせい)という性質がある。わかりやすくいうと、「一度知ったら、知らない自分には戻れない」という意味だ。読書をすると、否が応でも知識を吸収する。「野口英世はカネとオンナにだらしなかった」なんて知ってしまったら、それを知る前の自分には戻れなくなってしまうだろう。

あなたの世界には「野口英世はカネとオンナにだらしない」という事実が加わる。同様に、ビジネスに役立つ知識も、一度吸収すれば、仕事の考え方が変わり、必ずあなたの血肉となるだろう。

つまり読書をすれば、あなたは確実に賢くなるのだ。知識を忘れることはあるが、知識が失われることはない。一冊の本に詰まっている知識量は膨大だ。たった一冊の本で、あなたは昨日の自分よりもはるかに成長できる。いや、別人となるといっても過言ではない。

②論理的思考力が高まる

本はプロの編集者が構成を組んでいる。編集者は、どうすれば著者の主張を的確にわかりやすく読者に伝えるかを考え抜き、論理的な構成をつくりだす。

すぐれた構成は、目次を読んだだけでも、内容の全体像を把握できるようになっている。編集者は「伝える」ことに関しては、著者本人よりもプロフェッショナルかもしれない。本を読むことはつまり、言葉で伝えるプロから論理構造を学ぶことと同じなのである。

③アイデアの幅が広がる

悩みや疑問に直面したとき、本が助けてくれることもある。あなたが現在体験していることを、本の著者がすでに経験し、克服しているかもしれないからだ。失敗、成功、挫折、逆転。一冊の本には、人生の教訓が詰まっている。

本を読めば読むほど、「こんなときどうすればいい?」と迷ったときに役立つアイデアを蓄積できる。一人の師にめぐり会うのは大変かもしれないが、一冊の本と出会うことは容易である。読書の数だけ、あなたは人生のメンターを得ることができるだろう。

④問いの質が上がる

ビジネス書には明確なテーマがある。「なぜ~なのか」という問いがスタートになっていることも多い。本を読むと、「なぜ」を追求する姿勢、つまり「センスオブワンダー」(sense of wonder)の素養が身についてくる。問いの質が高くなると、アウトプットの質も比例して向上する。成果をあげるビジネスマンの多くが読書家であるのも納得がいく。

⑤頭がよくなる

知識が増える、論理的思考力が高まる、アイデアの幅が広がる、問いの質があがる。「本を読むと頭がよくなる」といわれるのは、読書がこれら4つの要素を包括するからだ。

読書は、読む力・意味を理解する力・内容をまとめる力・アウトプットする力を養うことができる。学校でもなかなか身に着けられない力を、たった一冊の本を読むだけで身に着けることができる。

⑥ストレス解消になる

イギリスで行われた研究によると、読書には気持ちを落ち着かせるストレス解消効果があるのだそう。また、高齢者の1週間あたりの読書量を比べると、週に 3.5 時間以上の読書時間がある高齢者は、そうでない高齢者に比べて、約 2 年ほど寿命が長いことがわかった。

小説やビジネス書でもかまわない。せっかくの休みの日だからこそ、読書に没頭してみてはいかがだろう。まずはお気に入りの喫茶店を探すことから始めてみてもいい。誰にも邪魔されない静かな空間で、一冊の本とだけ向き合うのだ。

忙しい日々に追われているときにこそ、読書への没頭は、現代人にとって非常に意義深いことだといえる。

⑦問題意識がビジネスチャンスにつながる

本が読者に問いを突きつけることもある。“あなたはどう思う?”――と。あなたは本を通じて、著者と問題意識を共有する。やがて、世の中の問題に目が向くようになる。そこには必ずビジネスのヒントが落ちている。

⑧「愛読書を持つ」という心の豊かさを得られる

経営者、映画監督、脚本家、俳優、小説家、ミュージシャン、芸術家。みなそれぞれに、必ず愛読書があるものだ。何気なく手に取った一冊の本が、あなたの人生を変えるかもしれない。「わたしの愛読書はこれです」と人に言えることは、人生の喜びである。

子どもが本を読むメリットと具体的な効果

日本で活躍するある女優は、幼い頃から大変な読書家で、いまでは年間300冊も読書をするのだという。その後、学業で優秀な成績をおさめ、現在は東京の有名な私立大学に通っている。子どもの読書がどれほどの恩恵があるのかについては、言うに及ばずである。

①読解力が養われる

子どもにとって読書は、言葉や文章から意味を汲み取り、内容を理解するための最良のトレーニングだ。文章読解能力、すなわち“読む力”は、コミュニケーション能力と深い関係があるという。子どもの社会性を高めるという点で、読書は欠かせない。

②語彙力が豊富になる

読書は言葉の引き出しを増やしてくれる。とくに、文語体(文章で使う形式)の語彙力を豊かにしてくれる。語彙力が豊かになるということは、自分の想いや感情を伝える幅が広がるということだ。

伝えたいことが相手に伝わらないというのは、人生において大きな損失である。やはり読書は、コミュニケーションを円滑にするうえで大いに意義があるといえるだろう。

③想像力が豊かになる

文章に書かれたことを理解するというのは、実は非常に高度な営みである。文字は、音声や映像に比べて、脳に入力される情報量が少ないため、想像力で不足を補うことになる。その際、曖昧な部分を自分の言葉に置き換える作業も伴う。読書量の多い子どもが想像力が豊かでアイデアに優れている理由である。

大人が本を読むメリットと具体的な効果

「子どもの頃から本を読むのが苦手で……」と読書を敬遠している方も多いことだろう。しかし、大人になってから読書が好きになったというケースも珍しくはない。なぜなら子どもの頃よりも、大人のほうがはるかに興味関心の幅が広がるからだ。実益の面で考えると、子どもよりも大人が本を読んだほうがメリットが多い。

①会話の幅が広がる

「ワイン」という言葉から、あなたはどれだけのことを関連付けることができるだろうか。仕事に取り組んでいるときも、私生活でパートナーと過ごしているときも、会話の幅は、円滑なコミュニケーションの条件だ。

本を読んで知識の量が増えるということは、物事を関連付けて考える思考力が養われるということ。もちろん独りよがりのウンチクではいけないが、相手を楽しませ、感心させるように会話の幅を広げていくと、あなたに対する評価はこれまでとは違ったものになるはずだ。

②相手の印象が変わる

会話の幅は、知識と教養の差である。なにげない言葉のやりとりで、相手があなたに抱く印象は大きく変わる。経営者や役員クラスの人間は、よく本を読む。そして彼らは、相手が本を読む人間なのか否かを、意識的であれ無意識的であれ判断している。

あなたがそういったグレードの人物とうまくやっていきたいのなら、読書をして会話の幅を増やしておくべきだ。もちろん小説でもかまわない。「ビジネス書はあまり読まないが小説はよく読みます」だけでも話のきっかけにはなる。「きみはどんな小説が好きなの?」と会話が自然に続くからだ。

③説得力が増す

本はアイデアの源泉であるとともに、失敗・成功事例の宝庫でもある。あなたが上司にプロジェクトプランを提案する際に、これまでの読書から教訓になる事例を引き出すことができれば、とたんに説得力が増すだろう。読書で得た知見を活かせば、あなたのプランは、無味乾燥な机上の空論ではなく、先達の経験を血肉とした成功シナリオになる。

本を読むデメリット5つ

筆者は「本を読むことに越したことはない」と自信をもって主張したい。だからこそ、読書のデメリットの側面にも言及するべきだろう。ただし以下に示すデメリットは、対応次第で弱みでなくなるので、あわせて対応策についても言及する。

①目が疲れる

読書に不慣れな人も、読書家も、目の疲れは共通の課題だ。目が疲れると視力低下・頭痛・肩こりといったカラダの不調を引き起こし、生活の質を下げてしまう。

遠近両用メガネを使っている人はとくに要注意。遠近両用メガネは近くを見ることに不向きなのだそう。人間は近くを見るときにもっとも目に負担をかけているらしいので、本を読むときはメガネを外すか、読書用メガネをつけるようにしよう(参考:千里堂メガネ琴似店)。

【対応策】
  • 手元を明るくして読む
  • 30~60分ごとに休憩をいれる
  • 読書用メガネをつける

②時間がとられる

読書にハマると、時間がいくらあっても足りなくなる。「次はこれを読みたいのにまとまった時間がとれない」という状況が多くなるだろう。しかし「読む時間がない」を理由に読書から離れてしまうのは、大変もったいない。

ポイントは、スキマ時間の有効活用だ。「読書をするための時間をつくる」のではなく、「空いた時間を有意義に過ごすために読書をする」に意識をスイッチすれば、時間がとられるという感覚もなくなるはずだ。

【対応策】
  • 移動時間だけ本を読む
  • 寝る前に本を読む
  • 昼休みに本を読む

③集中力が必要になる

「本を読むぞ」と意気込むと、かえってストレスになってしまう。読書は多少なりとも集中力を要するから、モチベーションがあがらないのに読書をしたって続かない。

ヘルマン・ヘッセが「百冊の最良の本とか、最良の作家とかは決して存在しない」といったように、たとえ「名著」だと他人が勧めても、あなたがワクワクしなければ意味がない

読書を楽しく続けるには、“ちゃんと読まなければならない”という固定観念を捨て去ることだ。つまらないと思ったらすぐに読むのをやめていいし、第一章から順番に読み進める必要もない(小説の場合はその限りではないが……)。

【対応策】
  • 面白くなければ読むのをやめる
  • 面白いところから読み進める
  • 拾い読み・ななめ読みをする
  • お気に入りの喫茶店を探して読書をする

④お金がかかる

本は1,000円以下のものから数千・数万円のものまで幅広い。ハードカバー系や専門書系は、値段のグレードが高くなる。どんな本に価値を見出すのかは、読み手次第だ。

いきなり高い本を買う必要はない。これから読書習慣を身につけたいのなら、まずは新書などの手頃な価格帯から慣れていくとよいだろう。飲み歩けば一晩で1万円は確実になくなるが、得るものは少ない。だが一冊800円で手に入る知識は一生モノである。

どうしてもコストを抑えたいのなら、図書館で借りるのも選択肢だ。入荷していない本を注文できる場合もあるため、「読みたい本の値段が高い」ときは有効活用しよう。

【対応策】
  • 手頃な価格の本から読む
  • いきなりハードカバーは買わない
  • 図書館に行く
  • 人から借りる

⑤思考が偏る

読書の意外な落とし穴、それが思考の偏りである。特定の分野を掘り下げ、知識を深めることは大変すばらしいことだが、まかり間違うと、視野が狭くなり、思考をゆがめてしまう恐れがある。思考の偏りは、認識の可塑性ゆえに起こる現象である。

本の内容は、世界を解釈する一つの枠組みであって、書かれていることがすべてではない。また、本に記されている事実や出来事も、世界の一部を切り取ったものであって、“世界の真実”ではない。目を覆いたくなるような悲惨な事件の裏では、明日への希望を抱かずにはいられない感動ドラマも起こっている。

この世の悲劇を集めた本ばかり読んでいると、生きにくさを感じるようになってしまうし、誰かを憎まずにはいられなくなるだろう。おそらく、渋沢栄一の本を読む人とは、明らかに違った世界観を形成することになる。

大切なのは、本と程よい距離感で付き合うことだ。「本に書かれていることがすべてではない」ことを意識するようにしたい。悲観的な本ばかり読むよりも、世の中のプラスの側面を知れる本も読んだほうがいい。成功者の物語ばかりに目を向けるだけでなく、世の中の解決すべき問題と向き合うことも大事だ。

【対応策】
  • 本に書かれていることを信じすぎない
  • 「そういう考えもある」というスタンスで読む
  • 本の内容をアウトプットして誰かに感想を聞く

本を読むのが苦手でも読書習慣を身につける方法7つ

本を読むメリットを理解し、「これから読書をはじめてみようかな」と少しでも思った方に向けて、たとえ本を読むのが苦手でも読書を習慣化するコツを解説する。

①新書から読んでみる

「読書をするからには、ちゃんとした本を!」と意気込んでハードカバーや分厚い専門書に取り掛かると、一気に失速するので気を付けよう。読書が苦手な人は、まずは「新書」からチャレンジしてほしい。

新書とは、105×173mmの細長いスリムの本だ。1,000円以下の手頃な価格で、政治・国際情勢・経済・科学・文化の最新トレンドを知ることができる。

書店に行けば、たいてい、レジ近くの新刊コーナーに新書がズラリと並んでいる。多様なジャンルで、よりどりみどりだ。ページも200ページ程度なので、移動時間・昼休み・寝る前などの空き時間を利用して読み進めれば、早くて2日、遅くても5日くらいで読み終えることができるだろう。

「一冊の本を読み終えた」という体験は、必ず自信になる。他の新書にもチャレンジしたくなり、気づけば読書習慣が人生のルーティンとなっていくだろう。

②目次で興味が湧いた本を読む

「これ面白いのかな?」と不安に感じたときは、目次を開いて内容の全体を俯瞰してみよう。プロの編集者は、目次を読むだけで読者の興味が湧くようにタイトルと構成をつくっている。だから目次をたどれば、自分が楽しめる内容かをある程度想像できる。この目次読みは、読書家がよくやる“ハズレ”をひかない鉄板の方法だ。

③専門書ではなく解説本を読む

専門的な分野に興味を持ったら、まずは“入門書の入門”レベルの解説本を読むことをおすすめする。“入門書の入門”というのはつまり、「専門家がド素人のために平易な言葉で解説した本」のことだ。

たとえば、あなたがマーケティングに興味があるなら、いきなりマーケティングの理論書を読むのではなく、「マーケティングってそもそもなんの役に立つの?」というテーマの本を手に取ったほうがいい。こうした解説本は、人によって陳腐な印象を抱くかもしれないが、その分野を俯瞰する地図として大いに役立つ。解説本は、入門書の扉に立つためのシラバスだ。

④興味のある本から読む

人から勧められた本を考えもなしに読むよりは、その本が自分に合うかを判断するほうが大事である。人から勧められた本があなたに合うとは限らない。

本との出会いは、“タイミング”である。数年前に買って読まずに放置していた本が、ある日、人生を変えることもある。そのときの関心・悩み・迷いによって、まったく心に響かないときもあれば、強烈に脳裏に刻まれることもある。本とはそういうものだ。まずは、自分の興味や好奇心に素直に従って、自由に本を選ぼう。

⑤つまらなかったら読むのを止める

「せっかく読書を習慣にしようと決意したのだから、この本を最後まで読まなくては」と真面目な人ほど考える。しかしその真面目さが落とし穴だ。

面白くないと思ったのなら読むのをやめて、すぐに次の本との出会いを探したほうがいい。罪悪感を抱く必要はない。先ほども言ったように、いまは面白くなくても、いずれ面白く感じるときがくるかもしれないのだ。それが本ならではの魅力である。

だから、面白くないと感じたときは、いずれその本を必要とする日がくることを楽しみにして、次の出会いを求めていこう。

⑥まずは15分だけ読み続ける

「昔から文字嫌いで本を開くのも抵抗がある」という方もいるだろう。そんな人は、まず「15分だけ本を読む」を継続してみよう。15分読書を5日間続ければ、75分読み進めたことになる。20日間続ければ、5時間読んだことになる。

継続は必ず自信になる。内容が面白ければ、15分から30分、30分から60分に読書時間が伸びていく。「文字アレルギーだと思っていたが、そうでもないのでは?」と気づく人もいるかもしれない。

読書習慣を身につけるなら、まずは無理をせず、短時間でもいいので、文章を読むことから始めてみよう。

【15分読書のおすすめタイミング】
  • 電車の中
  • トイレの中
  • 昼休み中
  • ベッドに入ったとき
  • 始業前

⑦カバンに本を入れて持ち歩く

本を持ち歩くのを当たり前にしてみよう。普段から使うカバンの中に忍ばせておくのがいいだろう。慣れてくると、暇な時間があるときにサッと読めるようになる。

プライベートでも持ち歩くことをおすすめする。本は“ちょっとした時間”を埋めるのに役立つ。待ち合わせの時間まで余裕があるときは、喫茶店で読書をしよう。あっという間に時間が過ぎるし、たった数十分でも有意義に感じるはずである。

本を読み始めるなら小説とビジネス書どっちか

小説であろうとビジネス書であろうと、読書の価値に違いはない。その本を読む「動機」を明確にすれば、本のジャンルも定まるようになる。

基本的には小説でもビジネス書でもOK

本を読むこと自体に大きな意味があるので、エンタメ小説・推理小説・歴史小説・哲学書・ビジネス書・専門書を問わず、何から読んでも気にすることはない。

小説が苦手な人は無理せずビジネス書を選ぼう

「ビジネス書は読めるけど、小説が全然頭に入ってこない」という人はけっして珍しくはない。筆者の私見では、小説には向き・不向きがあるように思う。

小説は、ビジネス書や実用書よりも読者のイマジネーションを必要とする。文字情報を頼りに頭の中のスクリーンに物語を映し出すのは、たしかに楽ではないし、苦痛に感じる人がいてもおかしくない。

向き・不向きがあるのは仕方ないことだ。本を読む習慣を身につけたいなら、無理せず、読みやすい本からチャレンジするのがベターである。

本を読む前にネットで書評を調べるのはアリ

ネットで書評を調べるのはアリなのは、レビューのなかに、読むべきか読まないべきかを判断する材料が落ちていることもあるからだ。“ハズレ”を引くリスクを下げることはできるかもしれない。

ただしレビューの過信には注意しよう。レビュワーも十人十色で、内容に偏りがあるからだ。

また、面白くない本と出会うことにも、実は一定の意義がある。なぜ面白くなかったかを言葉にしてみると、思考力が鍛えられる。

頭がよくなる読書の仕方3つ

「どうせ本を読むなら自己成長につなげたい」という方のために、有名作家や優秀なビジネスマンが実践している読書の仕方を紹介しよう。キーワードは「アウトプット」だ。

『学びを結果に変える アウトプット大全』によれば、インプットとアウトプットの比率は3:7だという。読書はあくまでインプットなので、読書で成果をあげたければ、やはりアウトプットは欠かせない。

つまり、たくさん本を読むだけでは意味がないのだ。読書量よりもアウトプットの質のほうが何倍も大事である。読書習慣と同じく、内容をノートにまとめたり誰かに話して、積極的にアウトプットする習慣もセットで身につけたいところだ。以下にその方法を3つに整理した。

①本の内容を要約をする

「けっきょく何が言いたかったの?」「読んでいない人に簡潔に内容を伝えるなら?」という問いをもちながら、本の内容をメモ帳やノートにまとめてみよう。

要約作業は、本質を捉える思考のトレーニングになる。実際にやってみると、意外に難しい。だからこそやりがいがある。要約できたときの達成感が、脳にいい刺激を与えてくれる。

②読書ノートをつける

作家の大江健三郎氏は、若い頃から読書ノートをつけていたそうだ。読書ノートには、本を読んで思ったこと・感じたこと・疑問に思ったことを書き残そう。

本を読むことは、著者と読者の対話である。読書ノートは対話記録のようなものだ。読者はノートを通じて自分を見つめなおすことができる。

③感想を誰かに話す

本を読んで思ったこと・感じたこと・疑問に思ったことを誰かに話すのも、最高のアウトプットである。相手の反応が返ってくることで、さらに発展的に本の理解を深めることができる。読書ノートの内容をしゃべってもいい。とにかく他者にアウトプットすることが大事である。

読書会はアウトプットの最高の機会

アウトプットの質に着目すると、実は読書は一人よりも複数人のほうが効果が高いことがわかってくる。なぜなら複数人で読書をすれば、インプットとアウトプットをその場で実践できるからだ。

複数人で本を読み合うなら、読書会が最適だろう。読書会なら、思ったこと・感じたこと・疑問に思ったことをすぐに言い合うことができる。独自に読書会を開催してもいいし、すでに開催されている読書会に参加してもいい。

読書会は、自分の考えをアウトプットする絶好の場所だ。インプットは得意でも、プレゼンや商談に苦手意識を持つ人は大勢いるが、ようするにアウトプットに慣れていないだけなのである。読書会は、読書嫌いの人から読書家まで、成果をあげる力を訓練する絶好の場所だといえる。

「Dラボ」は読書会のプロ集団

わたしたちDラボは、“マネジメントの父”ことピーター・F・ドラッカーの読書会を運営している。ドラッカーの読書会は、経営者だけでなく、マネジャーや新人までが、互いの興味・関心・視点での違いを意識しつつ、成果をあげるためのマネジメントを学び合う場だ。

読書会ではアウトプットをとても大事にしている。実際にわたしたちは、この読書会を通じて、「これまで主体性のなかった社員が自発的に提案をしてくれるようになった」「経営者目線で事業のことを真剣に考えてくれるようになった」という事例をたくさんみてきた。

経営に活かした事例

ドラッカーの読書会は、経営者と社員が同じ問題意識をもち、同じ目線で学びあえる貴重な機会だ。

もしあなたが、「リーダーシップを発揮できない」「資金調達が難しい」「人材育成がうまくいかない」「人材が定着しない」「売上が伸びない」「事業の将来に不安がある」「相談相手がいない」と悩んでいるなら、ぜひ一度、社員と一緒に読書会に来てほしい。無料体験も実施中だ。オンラインで開催しているため、全国の経営者やビジネスマンとつながれる貴重な機会にもなるだろう。

はじめて読むドラッカー読書会

「ドラッカー」が読書の初心者におすすめの理由

もしあなたが本選びに困っているなら、筆者としてはドラッカーの本をおすすめしたい。Googleやユニクロに多大な影響を与えたドラッカーのビジネス哲学は、経営者から現場レベルまで幅広く通用する原理原則が詰まっている。

多くの読書嫌いを魅了してきたドラッカーの魅力

読書会を運営していると、ドラッカーのすごさを痛感することがしばしばある。実はドラッカーを実践して成果を出した人たちの多くが、もともと読書嫌いだったのだ。いまでは、ドラッカーの本を肌身離さず持ち歩き、暇さえあれば開いてビジネスのヒントを得ている経営者もいる。

マイクロソフトやGoogleもドラッカーに影響を受けている

どれだけドラッカーがすごいのかについては、ドラッカーから影響を受けた人物を挙げるのが一番わかりやすいだろう。

  • Googleの元CEOエリック・シュミットはドラッカーのマネジメント手法を参考にして経営を行った。いわく「ドラッカーほど知識労働者に詳しいものはいない」
  • 英首相ウィンストン・チャーチルがドラッカーの著作を絶賛し、イギリス軍の士官全員分に本をプレゼントした
  • 同じく英首相マーガレット・サッチャーはドラッカーに影響をうけて民営化政策を推し進めた
  • 糸井 重里 氏がバカンスにドラッカーの本を持って行き、時間を忘れて読みふけった。いわく「推理小説より面白かった」。以来、ドラッカーの熱烈なファンを公言している
  • アニメ監督の富野 由悠季 氏はドラッカーの本をヒントにガンダムを生み出した
  • ユニクロ創業者の柳井 正 氏はドラッカーから多大な影響を受けた。「商売をするようになって、ドラッカーの言葉がいかに正しかったか。それを日々、実感している」。ロングセラーの”フリース”は、ドラッカーの言葉を信じた結果生まれた商品だった
  • イトーヨーカドー創業者の伊藤 雅俊 氏はドラッカーにコンサルティングを依頼した。以降、30年来の友人となった
  • 山崎製パンの元社長・飯島 延浩 氏はドラッカーを実践して「1,000億円の事業を創った」と自負している。
  • 松下電器(パナソニック)の元社長・中村 邦夫 氏はドラッカーを「師」と仰いでいる
  • 『キリンビール高知支店の奇跡』で有名な田村 潤 氏はドラッカーの言葉に勇気をもらいながら“負け癖”のついていたキリンビール高知支店を県内トップシェアに導いた。「リーダーとしてやるべきことは全国でも高知でも同じだった。その本質をドラッカー教授は的確な言葉で表現してくれている」
  • P&Gの元CEOアラン・ラフリーはドラッカーを実践して組織改革を行った
  • ゼネラル・エレクトリック(GE)社の元CEOジャック・ウェルチは、就任後すぐにドラッカーに手紙を書き、コンサルティングを依頼した。そこで生まれたのが「1位・2位戦略」であった
  • 日本の産業近代化および日米親善への寄与により、勲三等瑞宝章を授与される
  • マイクロソフトのビル・ゲイツはドラッカーを「最も影響を受けた経営書」と評した。

ドラッカーの解説書ベスト3選

以下に、多くの“読書嫌い”たちを魅了してきた鉄板の入門書を紹介する。

①入門書の決定版!ドラッカー実践で成功した18の会社事例を徹底解説

①入門書の決定版!ドラッカー実践で成功した18の会社事例を徹底解説

ドラッカー学会の理事であり、ドラッカーの読書会を主催する佐藤 等 氏(公認会計士・税理士)が著者。本書はドラッカーを実践して事業が好転した中小企業の実例を解説している。ドラッカーの入門として、間違いなく必読の書だ。

②成果をあげる思考習慣を身につける一冊

②成果をあげる思考習慣を身につける一冊

『実践するドラッカー』(通称:実ドラ)は、テーマごとにドラッカーの原理原則が解説されているため、読書会でも大人気の一冊だ。とくに『思考編』は、ドラッカーの初心者にぜひ読んでほしい内容となっている。

③たった150ページの本で最高にエキサイティングな読書体験

③たった150ページの本で最高にエキサイティングな読書体験

『経営者に贈る5つの質問』は、日本語版にしてわずか150ページあまりの小冊である。しかしドラッカーが突きつけるのは、組織の存在意義を見つめなおす深遠な問いであり、ときには痛みを伴う自己評価プロセスである。

「われわれのミッションは何か?」「われわれの顧客は誰か?」「顧客にとっての価値は何か?」「われわれにとっての成果は何か?」「われわれの計画は何か?」

この5つの質問は、経営者が売り手目線でなく、100%顧客目線に立つための本質が詰まっている。事業を見つめなおしたい方、これから新しい事業を考えている方、事業の将来に不安のある方は、ぜひ手に取り、真剣にドラッカーの問いと向き合ってみてほしい。

まとめ

人生に迷ったときや、どうしても誰かの知恵を借りたいときは、本屋に足を運んでみてほしい。必ずいい出会いが待っている。

本を読むメリット8つ
  1. 知識が増えて世界が広がる
  2. 論理的思考能力が高まる
  3. アイデアの幅が広がる
  4. 問いの質が上がる
  5. 頭がよくなる
  6. リラックス効果がある
  7. 芽生えた問題意識がビジネスチャンスにつながる
  8. 「愛読書を持つ」という心の豊かさを得られる
子どもが本を読む3つのメリット
  1. 読解力が養われる
  2. 語彙力が豊富になる
  3. 想像力が豊かになる
大人が本を読む3つのメリット
  1. 会話の幅が増える
  2. 相手の印象が変わる
  3. 説得力が増す
本を読むデメリット5つ
  1. 目が疲れる
  2. 時間がとられる
  3. 集中力が必要になる
  4. お金がかかる
  5. 思考が偏る
本を読むのが苦手でも読書習慣を身につける方法7つ
  1. 新書から読んでみる
  2. 目次で興味が湧いた本を読む
  3. 専門書ではなく解説本を読む
  4. 興味のある本から読む
  5. つまらなかったら読むのを止める
  6. まずは15分だけ読み続ける
  7. 常に本をカバンの中に入れておく
本を読み始めるなら小説とビジネス書どっちか

基本的には小説でもビジネス書でもOK。小説が苦手な人は無理せずビジネス書を選ぼう。

本を読む前にネットで書評を調べるのはアリかナシか

ネットで書評を調べるのはアリ。ただしレビューで過度に期待するのも、信じすぎるのも極端なので気を付けよう。

頭がよくなる読書の仕方3つ
  1. 本の内容を要約をする
  2. 読書ノートをつける
  3. 感想を誰かに話す
読書会はアウトプットの最高の機会

複数人で読書をすれば、インプットとアウトプットをその場で実践できる。読書会は、自分の考えをアウトプットする絶好の場所。

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