
多くの経営者が悩みを抱えている。悩みを挙げていくと、たくさんの共通点がみられる。しかし、悩みが生じる原因は、事業の形態や組織の状態によってさまざまだ。
この記事では、一般的に挙げられる経営者の悩みを7項目に整理して紹介するとともに、解決策になりうる選択肢を提示する。
また当記事では、多くの経営者と読書会を通じて関わってきたDラボが、経営者の悩みの本質にフォーカスし、対処療法的な解決策だけでなく、根本的に見直すべき点についても論じる。その意味においては、他の解説サイトよりも独自性があり、一般的な解説策では満足いかない人には価値のある視点を提供できるといえるだろう。
この記事を読めば、
- リーダーシップの本質はカリスマではない
- 赤字は事業の不自然さを知らせてくれる赤信号
- 顧客への貢献意識が人材育成の核心
- ミッションを共有して責任を与えることで人は伸び伸びと働ける
- 「売りたい製品」よりも「よく売れている製品」に新事業のチャンスあり
- よき相談相手は組織の使命に共感してくれる社員である
という気づきを得て、実は会社の組織づくりにこそ、経営者の悩みを解決するすべてのヒントが眠っていることを理解できるようになるだろう。
この記事の最後では、経営者の悩みをチャンスに変える読書会の案内もする。実際に多くの経営者が、読書会を通じて自己と組織に革新を起こした実例が存在するので、興味のある方は、ぜひ最後まで読んでみてほしい。
目次
①リーダーシップを発揮できない
原因
- 組織のミッションが曖昧
- 言動と行動が一致していない
- 真摯さが足りない
- カリスマ性がないとリーダーシップを発揮できないと思い込んでいる
など
悩みの本質
リーダーシップを発揮できないのは、そもそも組織におけるリーダーの役割と責任を誤解しているせいかもしれない。リーダーとは、組織のミッションを明確に定義し、目標を定め、優先順位を決め、それを維持する者のことである。
解決策
- 組織のミッションを明確にする
- 組織のミッションにもとづき意思決定する
②資金調達が難しい
原因
- 大企業よりも中小のほうが相対的に信用力が低いため、直接金融の融資が難しい
- 不動産担保を用意しにくい
など
悩みの本質
資金繰りの悪化や赤字は、事業活動の有効性を測定する大切なセンサーだ。一般論としては、もちろん「銀行融資以外の方法で工面する」「政策金融公庫や商工中央金庫を活用する」「法人成りで経費控除を増やす」という提案がある。
だが対処療法的なやり方では、いずれ同じ運命を辿る可能性がある。わたしたちDラボは、資金繰りの悪化を事業を見直す機会と捉えるべきだと考える。なぜなら利益とは事業存続の条件であり、健全な方法で利益を出すことは、顧客から価値を認められているという何よりの証左だからだ。
解決策
- 政策金融公庫や商工中央金庫を活用する
- 古くなったやり方を見直す
- 事業の在り方を見直す
- 自社の強みを活かせる市場を探す
③人材育成がうまくいかない
原因
- マニュアルに頼りすぎ
- 指示を出しすぎ/教えすぎ(マイクロマネジメント)
- モチベーションの源泉がお金
- ゴール設定が曖昧
- ノルマがきつい
- 自己成長の機会を奪っている
など
悩みの本質
まずは「人が育つとは何か」という問いかけを深めていこう。人材育成がうまくいかないのは、仕事の成果(ゴール)が明確でないせいかもしれない。成果が曖昧だと、仕事を通じて誰にどんな貢献をしているのかわからなくなってしまう。それではモチベーションもあがらない。
ただし仕事の成果を組織の内部に求めてはならない。組織の内部とは、つまり上司の評価・ノルマ・給与である。それらはあくまで組織内部の都合であって、顧客価値に何の貢献も果たさない。経営学や心理学でもいわれているように、そもそもノルマやカネでモチベーションを保つのはとても難しい。
仕事の成果を組織の外、すなわち社会や顧客に置くことによって、はじめて人は貢献を意識した仕事ができるようになる。それが自己成長のできる組織づくりである。
解決策
- 組織のミッションを明確にする
- 顧客への貢献を定義する
④人材が定着しない
原因
- 仕事のやりがいよりもインセンティブを強調している
- 「何のための事業なのか」という意味づけが曖昧
- 指示の出しすぎ
- 経営者や上司の真摯さが足りない
など
悩みの本質
よくあるのが、部下や社員に「細かく指示を出しすぎている」という問題だ。人の一挙手一投足を細かくコントロールしようとするやり方をマイクロマネジメントという。マイクロマネジメントは、人のモチベーションを著しく奪う。仕事の本来の意義や目的を見失い、「怒られないための」みじめで窮屈な仕事になりさがってしまうのである。
マイクロマネジメントは、けっきょく「人を信用していない」ことに端を発する。まずは事業の意義やミッション(使命)を明確にしてみてはいかがだろう。ゴールさえ明確なら、人はそこに向かって自由に考え、責任をもって意思決定できるようになる。
解決策
- お金でモチベーションをあげるシステムを見直す
- 「カネ」ではなく「責任」を与えて意思決定の裁量をゆだねる
- 「誰にどんな貢献をするのか」という視点で仕事の意味を再定義する
- リーダーシップを発揮できるように言動や行動を改める
⑤売上が伸びない
原因
- 製品が陳腐化している
- 市場の変化に気づいていない
- 新規開拓の方向性が間違っている
- 強力な代替製品が現れている
など
悩みの本質
売り上げは、自社の製品やサービスの市場価値を測るバロメーターだ。顧客に価値が認められたとき、はじめて利益がでる。売り上げが伸びないということは、これまでの売り方に何らかの問題が生じていることを示唆する。まずはマーケティング戦略を見直し、顧客理解と市場分析を深め、新製品開発や新規市場を開拓する必要があるだろう。
ただし、気を付けなければならないのは、これまでの売り方や製品に固執することだ。時代が変われば顧客のニーズも変化するし、様々な競合が代替的な選択肢となる。「顧客はドリルが欲しいのではなく、穴を欲している」というマーケティングの基本を忘れないようにしよう。あなたが売り上げを伸ばそうとしている商材は、すでに古いドリルになっている可能性があるのだから。
解決策
- 市場・顧客・競合分析をし直す
- 古くなった製品を見直す
- 新しい販路を探す
⑥事業の将来に不安がある
原因
- 事業の幅が狭い
- 新規市場が未開拓
- マーケティングリサーチが足りない
など
悩みの本質
企業は常に変化のリスクにさらされている。価値観や社会構造の変化に伴い、現在の事業が、これからもずっと通用するとは限らない。利益を確保できているうちに、次の事業を検討する必要があるだろう。
ただし「儲かるから」「一度やってみたかった」という安易な理由で事業を行うのは失敗のリスクが大きい。それは安易な多角化というやつで、大きな失敗や損失につながりやすくなる。事業の将来に不安がある人ほど、“うまい話”に飛びついてしまうため注意が必要だ。
新規事業のヒントは、実は現在の事業にあることが多い。売り方を変えたり、to Cからto Bに変更したりするなど、ちょっと視点をズラすだけで新規市場を開拓できる可能性がある。
解決策
- 「売りたい製品」ではなく「よく売れている製品は何か」を問い直す
- to Cからto B、あるいはto Bからto Cへと視点を移してみる
- 自社の強みを活かせる新規市場をリサーチする
⑦相談相手がいない
原因
- コミュニティが狭い
- 社内に右腕となる存在がいない
- 顧問税理士とのコミュニケーションが希薄
- 経営者の勉強会などが苦手で避けている
など
悩みの本質
経営者は孤独だとよくいわれる。経営者という立場は一般従業員とは異なるため、視座の高さが合わず、結果として孤立してしまうというわけだ。多くの経営者も「社員とは話が合わない」と決めつけて、なかば諦めている。しかし、本当だろうか。
相談相手がいないのは、一人で問題を抱えこみ、事業のことをすべて自分で解決しようとするからではないのだろうか。組織の理想は、組織のミッションとビジョンを、経営者と従業員が共有し、共に同じ目線で仕事をすることだ。
解決策
- 異業種交流会に参加してみる
- 事業計画にもコミットできる税理士を探す
- 社員と事業のミッションを共有して視座を同じにする
同じ本を読んで、同じ景色を見る。読書会はイノベーションの“はじめの一歩”。
わたしたちDラボは、“マネジメントの父”ことピーター・F・ドラッカーの読書会を運営している。ドラッカーの読書会は、経営者だけでなく、マネジャーや新人までが、互いの興味・関心・視点での違いを意識しつつ、成果をあげるためのマネジメントを学び合う場だ。
実際にわたしたちは、この読書会を通じて、「これまで主体性のなかった社員が自発的に提案をしてくれるようになった」「経営者目線で事業のことを真剣に考えてくれるようになった」という事例をたくさんみてきた。
経営に活かした事例ドラッカーの読書会は、経営者と社員が同じ問題意識をもち、同じ目線で学びあえる貴重な機会だ。
もしあなたが、「リーダーシップを発揮できない」「資金調達が難しい」「人材育成がうまくいかない」「人材が定着しない」「売上が伸びない」「事業の将来に不安がある」「相談相手がいない」と悩んでいるなら、ぜひ一度、社員と一緒にドラッカーの読書会に来てほしい。無料体験も実施中だ。オンラインで開催しているため、全国の経営者やビジネスマンとつながれる貴重な機会にもなるだろう。
ゼロからドラッカーを学んで、経営や組織マネジメントに活かして成果を出すことが目的なので、「ドラッカーに全然詳しくない」という方はむしろ大歓迎だ。
はじめて読むドラッカー読書会まとめ
①リーダーシップを発揮できない
【原因】
- 組織のミッションが曖昧
- 言動と行動が一致していない
- 真摯さが足りない
- カリスマ性がないとリーダーシップを発揮できないと思い込んでいる
など
【解決策】
- 組織のミッションを明確にする
- 組織のミッションにもとづき意思決定する
②資金調達が難しい
【原因】
- 大企業よりも中小のほうが相対的に信用力が低いため、直接金融の融資が難しい
- 不動産担保を用意しにくい
など
【解決策】
- 政策金融公庫や商工中央金庫を活用する
- 古くなったやり方を見直す
- 事業の在り方を見直す
- 自社の強みを活かせる市場を探す
③人材育成がうまくいかない
【原因】
- マニュアルに頼りすぎ
- 指示を出しすぎ/教えすぎ(マイクロマネジメント)
- モチベーションの源泉がお金
- ゴール設定が曖昧
- ノルマがきつい
- 自己成長の機会を奪っている
【解決策】
- 組織のミッションを明確にする
- 顧客への貢献を定義する
④人材が定着しない
【原因】
- 仕事のやりがいよりもインセンティブを強調している
- 「何のための事業なのか」という意味づけが曖昧
- 指示の出しすぎ
- 経営者や上司の真摯さが足りない
など
【解決策】
- お金でモチベーションをあげるシステムを見直す
- 「カネ」ではなく「責任」を与えて意思決定の裁量をゆだねる
- 「誰にどんな貢献をするのか」という視点で仕事の意味を再定義する
- リーダーシップを発揮できるように言動や行動を改める
⑤売上が伸びない
【原因】
- 製品が陳腐化している
- 市場の変化に気づいていない
- 新規開拓の方向性が間違っている
- 強力な代替製品が現れている
など
【解決策】
- 市場・顧客・競合分析をし直す
- 古くなった製品を見直す
- 新しい販路を探す
⑥事業の将来に不安がある
【原因】
- 事業の幅が狭い
- 新規市場が未開拓
- マーケティングリサーチが足りない
など
【解決策】
- 「売りたい製品」ではなく「よく売れている製品は何か」を問い直す
- to Cからto B、あるいはto Bからto Cへと視点を移してみる
- 自社の強みを活かせる新規市場をリサーチする
⑦相談相手がいない
【原因】
- コミュニティが狭い
- 社内に右腕となる存在がいない
- 顧問税理士とのコミュニケーションが希薄
- 経営者の勉強会などが苦手で避けている
など
【解決策】
- 異業種交流会に参加してみる
- 事業計画にもコミットできる税理士を探す
- 社員と事業のミッションを共有して視座を同じにする



Dラボ
当サイトDラボを運営しております。
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