わたしたちDラボの主催するドラッカーの読書会には、『ドラッカーを読んだら会社が変わった』に感銘を受けて参加してくれる方がたくさんいる。
「ドラッカーさんの著作には不思議な力があります。読者を行動に駆り立てるのです」と、ドラッカーの翻訳者・上田氏はいう。
それでは一体、ドラッカーを読んで会社の何が変わったというのだろうか? この記事では、『ドラッカーを読んだら会社が変わった』で実際に登場する全18の実例の中から、3つに厳選して紹介する。
もし続きが気になったら、本書を手に取ってほしい。かならずあなたの経営人生に、よりよい影響を与えるはずだ。
実際、この記事を書いている著者自身も、「これまでたくさんビジネス書を読んできた。どれもいまひとつでしっくりこなかったが、ドラッカーを読んだときに“これだ!”と心から思えた」と語る人にたくさん出会ってきた。老若男女問わず、口をそろえて同じようなことを言うのだ。実に不思議である。
渋沢栄一を尊敬するドラッカーの言葉には、もしかすると、わたしたち日本人のメンタリティーに近い何かが宿っているのかもしれない。
目次
事例1:お客さんになってもいいはずなのにお客さんではない人の声を聞いた
十勝バス(北海道)の事例。原油価格高騰によって窮地に陥ったが、「非顧客に聞け」というドラッカーの言葉を実践した。非顧客とは、お客さんになってもいいはずなのに、お客さんになってくれない人たちのことである。「不便だからバスを使わない」と想定していたが、約1000世帯の住民の声を聞いてまわると、予想だにしない回答が返ってきたのだった。
ほとんどあらゆる組織にとって、もっとも重要な情報は、顧客ではなく非顧客(ノンカスタマー)についてのものである。
(ドラッカー『ネクスト・ソサエティ』)
十勝バスがドラッカーを学んで気づいたこと
- バスに乗ってくれない人たちの「理由」を、自分たちが勝手に決めつけて諦めていた。
- お客さんにとってバスは「手段」であり、その手段によって何をしたいのかという問いかけを忘れていた。
会社はどのように変わった?
約40年ぶりに利用客が増加し、路線バスの運送収入が上昇。地方の路線バス事業としては異例の快挙で、マスメディアからの取材が殺到。のちに『KACHI BUS』としてミュージカル化。
事例2:お客さんが買っているのは「商品/サービス」ではなく「価値」であると気づいて仕事の成果を再定義した
美容室BALANCE(岡山)の事例。「技術を高めればお客様は満足してくれる」と考えて腕を磨くことに日々邁進していたが、スタッフの士気はあがらず、退職者が続出。
顧客にとっての関心は、自分にとっての価値、欲求、現実である。
(ドラッカー『マネジメント』)
やがて代表は、このドラッカーの言葉に出会い、「カットをするとき、お客さんの要望などほとんど聞かず、いつも自分の考える『理想の髪型』に仕上げていた。それで喜ぶお客さんなんていない」と気づいた。
美容室BALANCEがドラッカーを学んで気づいたこと
- 顧客が日々直面する「現実」にこそ真の満足を知るヒントがある
- 商品やサービスの購入の背後には、顧客が本当に望んでいる欲求がある
会社はどのように変わった?
顧客がよく読む雑誌を徹底的に研究し、見込客の自己実現欲求を理解した。それによって、顧客にどんな価値を提供するべきか、スタッフたちの共通認識が育まれ、仕事に主体性が生まれた。やがてリピート客や紹介が増え、「スタッフがイキイキしている」との評判も増えた。売上も右肩あがりに。
事例3:「利益は目的ではなく活動条件であり、会社の目的は顧客の幸せである」と定義することで売上が伸びた
クリーニング店の健誠社(北海道)の事例。会社を守ろうとするあまり利益を追い求め続けたが、社員に厳しくあたるようになり、やがては代表自身の体調も悪くなった。「社員に嫌われてまで、何のために頑張ってきたのだろう」と冷静になったときに、ドラッカーの言葉に出会った。
利益は、個々の企業にとっても、社会にとっても必要である。しかしそれは、企業や企業活動にとって、目的ではなく条件である。
(ドラッカー『マネジメント』)
「利益を出さなければ倒産してしまう。利益こそ目的ではないのか」と最初は受け入れられなかったが、ドラッカーの『経営者の条件』を学んで考え方が変わった。「企業の存在意義は、顧客の幸せにある。そして利益は顧客満足の尺度。利益が上がるのは、自分たちの仕事ぶりを顧客に評価してもらえたことの証拠に過ぎない」。
健誠社がドラッカーを学んで気づいたこと
- 創業当時は素晴らしいミッションを持っていても、お金のことで頭がいっぱいになると、やがて利益のことしか考えられなくなる。
- 「事業」とは、「組織」が社会のなかで「ミッション」を果たす手段である。利益をあげるための手段ではない。
- 利益の定義を変えると経営は劇的に変わる。
音声CD版なら研修にも使える!
日経BP社から2016年に出版されたドラッカー理論の実践成功事例集『ドラッカーを読んだら会社が変わった!』。
ドラッカーの著作に学んで成果をあげた人たちのケース・スタディー集が、今度は型を変えて「音声CD版」として発売された。
中小企業の経営者に、市役所の職員、外資系社員などが成果をあげた成功事例。現代の日本で、ドラッカーの言葉に触発された人々が、どのように意識を変え、どんな行動に出て、どのような成果をあげたか。
小さな奇跡の数々からマネジメントとは何か、の一端を学ぶことができる。CD版では、プロのナレーターによる朗読と、著者・佐藤等さんご本人による解説が収録されている。
CDは全部で7巻。各巻は約60分。書籍1冊がまるまる音声に収められている。加えて、「解説小冊子」としてCDで取り上げた主なドラッカーの名言、実践のためのあなたへの問い、など20ページが付く。
さらに、「特典映像DVD」(68分)として、東京・八重洲で行われたセミナー「実践するドラッカー マネジメント講座」が見られるようになっている。一般価格は、19,800円。「日経トップリーダー」の公式サイトから購入することが可能だ。本ではじっくりと読む時間がないが、車での移動中など耳から聴くことで内容を頭に入れるにはちょうどいい媒体。ぜひ、利用したい。
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当サイトDラボを運営しております。
ドラッカーを学んだ経営者やビジネスマンが実際に仕事や経営に活かして数々のピンチを乗り越え、成功を収めた実例を記事形式で紹介しています。
また、「実践するマネジメント読書会」という、マネジメントを実践的に学び、そして実際の仕事で活かすことを目的とした読書会も行っております。
2003年3月から始まって、これまでに全国で20箇所、計1000回以上開催しており、多くの方にビジネスの場での成果を実感していただいています。
マネジメントを真剣に学んでみたいという方は、ぜひ一度無料体験にご参加ください。
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