今日は利益の位置づけを確認します。まずは前回挙げた原理の復習からです。
<マネジメントの原理11>
成果とは外の世界における変化である
<マネジメントの原理12>
マネジメントは自らの組織が目的(ミッション)を果たすために
成果をあげる責任をもつ
これまでの2回で取り上げた原理は成果に関するものですが、利益や売上といった自分たちが手にするものを成果と誤解していることが多いと前々回で指摘しました。では「利益」はどのようなものなのでしょうか。
企業の目的は利益をあげることではない
おそらく、ドラッカー・マネジメントにおいて、この「利益」ほど誤解にまみれたコンセプトないでしょう。最大の誤解は、「企業の目的を利益をあげることである」というものです。
組織(企業)の目的は原理3~5に示しました。利益という言葉は見当たりません。組織の最大の目的を確認しておきましょう。
<マネジメントの原理3>
組織の目的は社会において特有の役割(ミッション)を果たすことである
では、利益は…
<マネジメントの原理13>
利益は組織が役割(ミッション)を果たすための条件である
組織の目的ではなく存続の条件です。利益(繰越利益―剰余金―内部留保)なしに長く組織という道具を使い続けることはできません。燃料切れになってはミッションを果たすことは不可能です。
ドラッカー教授は、利益は未来におけるコストであるといいます。未来のリスクや不確実性に備える燃料庫だというのです。それゆえ条件としての利益は目標よりも厳しい基準です。あげなければならないものという意味だからです。経営者の覚悟が問われます。それは社会とって必要不可欠の道具である組織(企業)を使って、社会の役に立つという覚悟です。具体的には、利益をあげ税金を払って内部留保を厚くするという覚悟です。未来のコストはどれくらい貯蔵されていますか。
原理によるマネジメントが必要な理由
第1回目は、原理がマネジメントにいかに必要かについて触れています。<方法ではな<原理を手にすること>の大切さについては何度も確認して欲しいと思います。
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