時間がない人の特徴6つ:本質的な4つの原因&成果のあがる時間管理の方法3つを徹底解説!

時間がない人の特徴6つ:本質的な4つの原因&成果のあがる時間管理の方法3つ

さて今回のテーマは「時間がない」という悩みについて。

この記事を読んでいるあなたもきっと、

「なぜ、こんなにも自分は時間がないのか?」

「多忙なのは自分だけ?他の人って何をしているの?」

「大した忙しそうじゃないのに、なぜあの人は成果をあげているのか?」

「どうすれば自由な時間をつくれるのか?」

このような疑問や悩みをお持ちのはずです。

まず安心していただきたいのが、「時間がない」という問題はけっしてあなただけではなく、おそらく大多数の人が直面する問題です。

たとえばSEIKOが実施した時間に対する意識調査によると、次のことがわかりました(参考:セイコー時間白書2020)。

  • 85%が「時間を意識して行動している」はずなのに
  • 50%以上は「時間がない」と感じていて
  • 60%以上が「時間に追われている」と思っている

多くの現代人が、まさに「時間がない」という問題に直面していることがわかる結果ですね。

さてこの記事では、時間管理(タイムマネジメント)の元祖であるピーター・F・ドラッカー教授の原理原則を、体系的に、実践しやすく、わかりやすく解説していきます。

★補足★

ドラッカーといえば、『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』(通称:もしドラ)で有名な人物です。何を隠そうドラッカー教授は、マネジメントの父と称され、世界中の経営者に多大な影響を与えた経営思想家なのです。

この記事を読めば、

  • 時間がない人がやりがちな間違った習慣
  • 成果のあがる人に共通する時間管理の本質
  • 自由な時間をつくるための3ステップ
  • 実際に時間管理を実践して大出世を果たした実例

といったことを知ることができ、「時間」という資源に対する考え方・見方がガラリと変わるはずです。

手始めに、以下の表をご覧ください。今回の記事の内容をさらに具体的に要約すると、次のようになります。

時間がない人(成果のあがらない人)・時間浪費の原因を把握していない
・自由に使える時間があると思い込んでいる
・物事の優先順位がつけられない
・「重要ではないが緊急度の高いタスク」や「重要度も高く緊急度も高いタスク」に追われている
・マルチタスクが良いことだと思っている
・仕事で成果をあげられない
時間がある人(成果をあげている人)・自分の時間を記録している
・自由に使える時間が限られていることを自覚している
・やらなくていいことを決めている
・最も意味のあることのみ手をつけている
・一時に一つのことに集中している
・ノーと言える決意がある
・新しい活動を始める前に古い活動を捨てている
・仕事で大きな成果をあげている

この表を見たときに、いろいろ思うところがあるでしょう。

記事を読んだあと、きっとあなたは、いま抱いている疑問や違和感がスッキリと晴れ、「よし、自分も今日から時間と向き合ってみよう!」とメモとペンを手にしているはずです。

時間管理とは、セルフマネジメントの第一歩です。

この記事を読む10分前と10分後のあなたは、きっと別人になっていると思います。そう願って記事を書きました。ぜひ最後までお付き合いくださいね。

時間は希少な資源である。時間を管理できなければ、何も管理できない。

経営者の条件』より

時間がない人の特徴TOP6

まずはじめに、時間がないというのは、そもそもどういうことなのか、整理してみましょう。

端的にいいますと、時間がないのは、自由に使える時間をつくれていない証拠です。

以下に、時間がない人にありがちな思考・行動・習慣について整理しました。

①仕事は忙しいのが普通だと思っている

特徴

・いつも仕事やタスクに振り回されて目の前のことしか見えない
・忙しくないと不安になる
・スケジュールに空きをつくらないのが“デキる人”だと思っている

時間がない人は、そもそもなぜ、自分に時間がないのか把握できていません。

「私はやるべきことが多いだけ」「無駄なことはしていない」という方もいますが、本当にそうでしょうか……?

成果をあげる人は、まずは自分の時間浪費の原因を探るところからスタートします。日々の時間の使い方を客観視すると、思わぬ発見がありますよ。

成果をあげる者は、時間が制約要因であることを知っている。あらゆるプロセスにおいて、成果の限界を規定するものは最も欠乏した資源である。それが時間である。

経営者の条件』より

②自由に使える時間があると思い込んでいる

特徴

・「忙しいのは今だけ」が口癖になっている
・いつか自由な時間がつくれると楽観視している
・仕事を後回しにして無理やり自由時間をつくっている

日々の時間の使い方を客観視しないと、自由に使える時間があるはずだと錯覚してしまうものです。

「月曜日と火曜日は忙しいけれど、水曜日には時間が空くはずだから……」

「今週は多忙だけれど、来週にはかなり楽になるはずだから……」

「今月末には身体が空く予定だから……」

というのが口癖(≒思考の癖)になっていませんか?

これまでのことを振り返ってみたとき、あなたのその想定は、どれだけ実現したでしょうか?

想定外のことが起こってバタバタする、けっきょく計画内でタスクを消化できずに期限ギリギリになる、といった現象が頻繁に起こるなら、時間浪費の黄色信号ですよ。

根本原因を見つけて改善しなければ、これからも時間に追われる仕事人生になってしまいます。

自らの時間の半分以上をコントロールし自由に使っているなどという者は、実際に自分がどのように時間を使っているかを知らないだけである。

経営者の条件』より

③物事の優先順位がつけられない

特徴

・とりあえず仕事を引き受けてしまう
・会議だけで一日が終わる日が多い
・付き合いで参加する行事が多い
・惰性で定期的に参加しているイベントがある

時間がない人にありがちなのは、「いま取り組んでいることは、すべてが重要なこと」という思い込みです。

あなたが仕事や夢を叶えるために本当に必要なことは、実はたった一つしかありません。

それは、あなたの強みを重要な機会に集中するということです。

自らの強みを生かそうとすれば、その強みを重要な機会に集中する必要を認識する。事実、それ以外に成果をあげる方法はない。

経営者の条件』より

あなたが取り組んでいる仕事・タスク・会議・行事・イベントのなかで、最も重要で意味のあることは何ですか?

自分ではなくて他の人にやらせてもいいことはありませんか?惰性で行っていることはありませんか?

まずは真に意味のある活動は何かを問い直す必要があります。

④「重要ではないが緊急度の高いタスク」や「重要度も高く緊急度も高いタスク」に追われている

特徴

・緊急度の高いタスクが最も重要な仕事だと思っている
・タスクの属性が整理されていない
・緊急度の高いタスクばかりでパンクしている

これもありがちな例です。時間がない人は、クライアントからの急な要望や、突発的に生じたトラブルによって、多くの時間が奪われています。

とくに、「重要度も高く緊急度も高いタスク」は、あたかもそれこそが重要な仕事かのように錯覚しがちです。

しかし実は違います。

本当は「重要度は高く緊急度が低い」ことに、たっぷり時間をかけて取り組まなければなりません。それこそが、明日をつくるための真の生産的な活動なのです(詳しくは後述します)。

⑤マルチタスクが良いことだと思っている

特徴

・複数のタスクを器用にこなすのが優秀なビジネスマンだと思っている
・タスクの消化に快感を感じている
・頼られるのが快感で仕事を引き受けてしまう

「仕事ができる人ほど多忙である」と考える風潮があります。

部分的にはそうかもしれません。トップマネジメント層になるほど、他人に時間をとられるからです。

しかしどんな地位と役割であれ、本質的には、マルチタスクは決して好ましいことではありません。

タイムマネジメントの元祖ともいえるドラッカー教授は「三つの仕事を同時に抱えて卓越した成果をあげる人はほとんどいない」と言いました。

むしろドラッカー教授は、成果をあげる人ほど、多くの仕事を手放し、自分の強みを発揮できる仕事にのみ集中していると、数々の事例をもって力説しています。

⑥仕事で成果をあげられない

特徴

・誰よりもたくさん仕事をしているのに成果があがらない
・すべての仕事が中途半端で前に進まない
・複数の仕事にエネルギーが分散している

時間がないことの最大のデメリットは、「成果をあげられない」という一言に尽きます。

時間に追われる人、すなわち時間がない人は、どうして成果があがらないのか。ドラッカー教授は、次のように整理しました。

  1. すべてがうまくいくものと楽観視し、一つの仕事に必要な時間を過小評価する
  2. 時間に追われて急ごうとするため、さらに遅れる
  3. 同時にいくつかのことを行おうとするため、どれか一つが問題にぶつかるとすべての仕事がストップする

なぜ時間管理(タイムマネジメント)が必要なのかといえば、仕事で成果をあげるためです。成果をあげるためには、まずは時間の管理からスタートしなければなりません。

通常、仕事についての助言は「計画せよ」から始まる。もっともらしく思えるが、問題はそれではうまくいかないところにある。(中略)私の観察では、成果をあげる者は仕事からスタートしない。時間からスタートする。計画からもスタートしない。時間が何にとらわれているかを明らかにすることからスタートする。次に時間を管理すべく、時間に対する非生産的な要求を退ける。そして最後に得られた自由になる時間を大きくまとめる。

経営者の条件』より

時間がない原因4つ

以上のことをふまえて、時間がない原因をまとめました。これらが、「時間がない」という現状を改善して、仕事で成果をあげるための大きなヒントとなります。タイムマネジメントの元祖・ドラッカー教授の金言を引用しながら、みていきましょう。

①自分がどんなことに時間を浪費しているか自己診断していない

知識労働者が成果をあげるための第一歩は、実際の時間の使い方を記録することである。

経営者の条件』より

まずは自分の時間の使い方を客観視するところから、すべてが始まります。

ドラッカー教授は、成果をあげる人は「時間に対する愛情ある配慮」があると言います。独特な言い回しですよね。

つまりドラッカー教授は、成果をあげる人たちは、時間がいかに希少な資源であるかをよく理解しているというのです。

②集中すべき本当に意味のある活動は何かを理解していない

成果をあげるための秘訣を一つだけ挙げるならば、それは集中である。成果をあげる人は最も重要なことから始め、しかも一度に一つのことしかしない。

経営者の条件』より

あなたが取り組んでいるプロジェクトや、夢の実現に向けた行動のなかで、本当に意味のある活動は何でしょうか?

あなた自身という“資源”を、何に集中させれば、より大きな成果を見込めるのでしょうか?

まずは、いま行っている活動のゴールをあらためて言葉にしてみてください。

そして理想のゴールから逆算したとき、あなたが最も集中すべき意味のある活動は何でしょうか?つまり優先順位を決定しなければなりません。

この問いかけから、きっと何か見えてくるはずです。

ちなみに優先順位については、4つの原理原則が存在します。

優先順位の決定には、いくつか重要な原則がある。すべて分析ではなく勇気に関わるものである。第一に、過去ではなく未来を選ぶ。第二に、問題ではなく機会に焦点を合わせる。第三に、横並びではなく独自性をもつ。第四に、無難で容易なものではなく変革をもたらすものを選ぶ。

経営者の条件』より

③古い活動(非生産的な活動)を捨てていない

集中のための第一の原則は、生産的でなくなった過去のものを捨てることである。そのためには自らの仕事と部下の仕事を定期的に見直して、「まだ行っていなかったとして、いまこれに手をつけるか」と問うことである。答えが無条件のイエスでないかぎり、やめるか大幅に縮小すべきである。

経営者の条件』より

ドラッカー教授は、どれだけ優秀な人であろうとも、例外なく「過去がもたらした問題」に取り組んでいるといいます。

なぜなら今日の仕事は、「自らが昨日行った意思決定の後始末」だからです。

とくに、時間がない人というのは、“過去”に対して膨大な時間とエネルギーを注ぎ込んでいるというわけです。

時間がないと嘆いている人は、やりたいことや重要だと錯覚していることを抱え込みすぎて、“肥満”になってしまっているかもしれません。

つまるところ、成果をあげる者は、新しい活動を始める前に必ず古い活動を捨てる。肥満防止のためである。組織は油断するとすぐ体型を崩し、しまりをなくし、扱いがたいものとなる。

経営者の条件』より

実は時間管理において、優先順位を決めること以上に、やらなくていいこと(劣後順位)を決めることのほうが、集中において重要なのです。

優先順位の決定は比較的容易である。集中できる者があまりに少ないのは、劣後順位の決定、すなわち取り組むべきでない仕事の決定とその決定の遵守が至難だからである。

経営者の条件』より

④まとまった自由な時間をつくれていない

成果をあげるには自由に使える時間を大きくまとめる必要がある。大きくまとまった時間が必要なこと、小さな時間は役に立たないことを認識しなければならない。たとえ一日であっても、まとまった時間であれば重要なことをするには十分である。逆にたとえ一日の四分の三であってもその多くが細切れであればあまり役に立たない。

経営者の条件』より

時間がない人は、忙しい合間をぬって時間をつくろうとします。たった20分でも空き時間があれば御の字ということで、そのわずかな時間でやりたかったことに取り組む人もいます。

そういう人は「塵も積もれば山となる。たとえ少しずつでも、手をつけていれば前に進むはずだ」と考えているのかもしれません。

しかしドラッカー教授に言わせれば、“時間を空けたら塵は塵にしかならない”です。

キーワードは「一時に一つのことに集中する」です。成果をあげるために集中すべきことがわかっているなら、2時間、3時間でもいいのでまとまった時間をとるようにしましょう。

時間管理の方法を3ステップで解説

さて、以上のことをふまえたうえで、実際に時間管理(タイムマネジメント)をどうやるのか、ドラッカー教授の世界的名著『経営者の条件』を参考に解説しましょう。

方法はシンプルです。たった3ステップしかありません。

  1. 時間を記録する
  2. 非生産的な活動を廃棄する
  3. まとまった時間をつくる

この時間管理の方法を3ステップを実践すれば、必ず変化を実感できるはずです。

STEP①「時間を記録する」

まずは可能な限り詳細に、自分の一日の活動を記録してみましょう。

記憶(キロク)ではなく、記録(キオク)をしてください。わたしたちの記憶というのは、非常にあやふやで、信用できないものです。

記憶自慢の人に時間をどう使っていると思うかをメモしてもらい、そのメモを何週間か預からせてもらう。その間実際に時間の記録をとってもらう。思っていた時間の使い方と実際の記録は似ていたためしがない。

経営者の条件』より

記録の期間は、まずは3日~7日間を目標にやってみましょう。それだけでもかなり面白い発見があるはずですよ。

1年間ずっと記録し続けたことで、仕事に革命が起こり、日本一の営業マンになった人もいます(この実話エピソードは後述します)。

STEP②「非生産的な活動を廃棄する」

非生産的な活動を廃棄してこそ、ようやく自由に使える時間を創造することができます。

まずは時間記録のメモを見てみてください。

そこに書かれた様々な活動のなかに、「まったく無駄な仕事」「人にまかせられること」「意識すれば排除できる無駄な行為や習慣」が浮かび上がってくるはずです。

上記の図は、有名なアイゼンハワーマトリクスです。別名「タイムマネジメントマトリクス」。かの第34代米国大統領、ドワイド・アイゼンハワーが現役中に実践したとされるものです。

まずはあなたが抱え込んでいる仕事やタスクを、上記のA~Dで整理してみてください。

そのうえで、非生産的な活動を発見するための、以下の3つの問いを実践してください。

問い1:する必要のまったくない仕事、何の成果も生まない時間の浪費である仕事は何か?

「まったくしなかったならば何が起こるか」と問いましょう。このとき答えが「何も起こらない」なら、ただちに捨てる決断をします。

問い2:他の人間でもやれることは何か?

時間の記録をとったならば、誰しもがこう思います、「自分の自由に使える時間が無さすぎる」と。このときはじめて人は、自分でなくてもよい仕事を認識するようになるのです。

問い3:自分で意識して廃棄できる時間浪費の原因は何か?

Dラボが主催する『実践するマネジメント読書会®』では、この問い3にまつわるエピソードや実践報告を、よく参加者から聞くことがあります。

この問い3は、いうなれば、わたしたちが普段当たり前に、無自覚に、習慣的に行ってしまっている、時間浪費癖を明らかにする問いです。

そのなかでも典型的なのが、「“いま少しだけお時間ありますか?”という仲間からの相談に乗りすぎて、時間を浪費していることに気づいた」という例です。

あなたもギクッとしたのではありませんか?

では具体的にどのように改善したのか。以下に、『実践するマネジメント読書会®』で参加者から紹介された実例を紹介しましょう。ヒントになるかもしれません。

時間の浪費を防いだ実例

保育園に勤めるAさんは、時間の記録を振り返ると、自分が一日の中で、何度も同僚や部下からの相談に乗っていたことに気づきました。
Aさんは、「相談が多い」という現象の根本を改善すれば、相談回数が減るはずだと仮説をたてます。そこで彼女は、これまでの相談内容を整理してみることにしました。
すると、実はスタッフたちは、保育園の定める意思決定や行動の基準が曖昧だったために、自信がなくて不安だったということがわかりました。
そこでさっそくAさんは、スタッフが自信をもって意思決定や行動ができるように、基準を明確にしました。すると、毎日のように来ていた相談が激減し、Aさんは仕事に集中できるようになりました。

問い4:組織体制が人々の時間を奪っていないか?

先ほど紹介した例は、保育園の体制を見直すことで、習慣的に行っていた相談が、実は時間浪費の原因となっていたというエピソードでした。

実は時間浪費の原因は、個人のレベルにとどまらず、組織体制それ自体に欠陥があることも珍しくはないのです。

以下に、組織体制が人々の時間を奪っている可能性を発見するさらに具体的な問いを紹介します。

周期的に起こる混乱はないか?システムの欠陥あり。二度起こったことが三度も起こるようなら要注意
人員過剰からくる時間の浪費はないか?人間関係の衝突や摩擦で時間をとられているならチームは人員過剰に落ちっている可能性が高い
会議が多くないか?理想は会議がゼロ。あくまでも会議は「例外」としてみなければならない

STEP③まとまった時間をつくる

ここまでくれば、まとまった時間をつくる取っ掛かりを見つけられるはずです。

どのようにまとまった時間をつくるかは、十人十色です。正解はありません。ライフスタイルや仕事の仕方は人の数だけありますから。

ただし、ここで注意があります。それは「二次的な仕事を後回しにすることによって自由な時間をつくろうとする」ことです。

実は、「自分はまだ時間に余裕がある」と自負する人ほど、問題を先送りして時間があるように取り繕っていることが多いです。

成果をあげるには大きな固まりが必要である。いかに総量が多くとも細分化していたのでは役に立たない。

経営者の条件』より

具体的に、どのようにして、まとまった自由な時間をつくればよいのか悩む方もいると思うので、一応、参考までに例を紹介しましょう。

例1:仕事を特定の日にまとめる

たとえば一週間のうちに、どうしても避けられない会議が複数あるとしましょう。

会議が重なる日って、他の仕事に集中できなくなりますよね。頭のスイッチが切り替えられないという感覚、あなたも経験があるのでは?筆者も気持ちが痛いほどわかります。会議って、本当に生産性が悪いなと、つくづく思います。

しかし参加しなくてはならない会議があるのは事実。ではどうやって集中すべき仕事の時間をつくるか。

たとえば「水・木曜日に会議を集中させて、月・火曜日は大事な仕事に集中し、金曜日に仕事を整理する」という工夫は、いかがでしょうか。

会議の日程は他の人の同意が必要ですから理解が必要ですが、提案する価値はありますよ。

例2:最も生産的な時間帯に重要な仕事をまとめる

あなたは朝型ですか?夜型ですか?

これは筆者自身の実例ですが、わたしはもともと、朝型の人間です。朝に最も頭の回転が早くなり、集中力と創造力が発揮されることを、長年の経験から知っています。学生時代は毎日、朝4時から7時まで勉強していたものです。

逆に夜はまったく集中力が続きません。頭の回転が鈍くなっていることをはっきりと自覚できるほどです。

なのでわたしは、「朝に大事な仕事(活動)を行い、夜はゆっくり休む」というメリハリを意識して生活しています。どうせ夜に活動しても、たいした成果を見込めないので、夜の活動は廃棄することに決めたのです。それよりも趣味の時間を過ごしたほうが有意義だと気づいたのです。

時間管理で成果をあげた実例:全国でも0.03%に入るスーパートップ営業マンになれた理由

2016年年に発売され話題になった『ドラッカーを読んだら会社が変わった!』に登場するエピソードに、全国で保険サービスを提供しているプルデンシャル生命の高塚さんの実例があります。

高塚さんは当時、多忙を極める日々を送っていました。しかし、忙しさとは裏腹に、売上目標を達成できていないという悩みを抱えていました。

そこで、ドラッカーの時間管理に感銘を受けた高塚さんは、自身の仕事を見直す決意をします。

まず、1年間、毎日何にどれだけの時間を使っているのかを細かく記録しました。

記録の結果、高塚さんは驚くべき事実を発見します。

それは、顧客開拓のための戦略的な面談に多くの時間を費やしているにも関わらず、成果に結びついている案件が非常に少ないという現実でした。

なぜ、多くの時間を費やしているにも関わらず、成果が出ないのか?

高塚さんは、過去の行動を深く分析しました。その結果、「事前準備不足」が大きな原因であることに気づきます。

実は高塚さんは、ただ単に顧客と会うことに意識が向きすぎており、提案書の作成や関係構築のための準備に十分な時間を割けていなかったのです。

この問題点を改善するために、高塚さんは以下の3つの行動に集中することを決意しました。

  1. 契約につながる戦略的な面談:紹介や提案依頼につながりそうな顧客に絞って面談を行う。
  2. 提案書作成など、契約につながるための準備:顧客への貢献を明確にし、説得力のある提案書を作成する。
  3. 毎週と毎月の振り返り:実績と計画を比較し、改善点を見つける。

これらの行動を徹底することで、高塚さんの仕事は大きく変化しました。

  • 3か月で売上は月平均2倍以上!
  • 重要案件の契約数は目標の3倍以上!

高塚さんは、この経験を通して、「ただ忙しいだけではダメ。何をすべきか、どうすれば成果が出るのかを明確にし、それに集中することが大切」だと気づきました。

高塚さんの成功のポイントは、以下の3つです。

  • 具体的な行動目標の設定:漠然とした目標ではなく、具体的な行動目標を設定することで、成果に繋がりやすい。
  • 時間の使い方の可視化:自分の時間を記録し、どこに時間が費やされているのかを可視化することで、無駄な時間を削減できる。
  • 継続的な改善:定期的に振り返りを行い、改善点を修正することで、より良い結果へと繋がる。

これこそ、ドラッカー教授の時間管理の本質です。

時間管理は、「時間がない」と忙しい日々に追われるなかで、成果のでない人が、成果のあがる人になるための継続的な努力なのです。

時間をつくることは「勇気」を伴う意思決定である

Dラボが主催する『実践するマネジメント読書会®』では、よく参加者たちと「やらないことリストをつくろう!」と実践しています。

それは、優先順位よりも劣後順位が重要だからです。

でも、やらないことを決めるのって、めちゃくちゃ勇気のいる作業です。

本当は「全部大事」と思っているのですから、当然です。

しかし、だからこそ、「自分の目指すゴールにとって、本当に意味のある活動は何だろう?」という問いと向き合うことができるようになります。

ここにこそ、時間管理と集中の本質があるのです。ドラッカー教授は次のようにいいます。

集中とは、「真に意味のあることは何か」「最も重要なことは何か」という観点から時間と仕事について自ら意思決定をする勇気のことである。この集中こそ、時間や仕事の従者となることなくそれらの主人となるための唯一の方法である。

経営者の条件』より

面白いと思いませんか?

“時間管理”と聞くと、数字で事細かに分析して、客観視して、厳密なスケジュールをつくるイメージがありますが、時間管理の元祖であるドラッカー教授は、時間管理の本質を「勇気」と言っています。

考えてみれば、それもそのはずです。何を優先すべきで、何をやらないと決めるかは、その人の目指すミッションやビジョンと密接に関わっています。

ミッションやビジョンに客観的な正解はありませんし、データが裏付けるものではありません。

「選ぶ」ということ自体が、その人の世界観や価値観が反映されているわけです。

まとめ:まずはどんな時間の記録から始めますか?

清水 祥行(しみず よしゆき)

1968年、兵庫県西宮市うまれ。同志社大学卒。
Dサポート株式会社代表取締役、ナレッジプラザ・ドラッカー読書会認定ファシリテータ、一般財団法人しつもん財団認定ビジネス質問家、 経済産業省登録中小企業診断士(平成8年登録)。
楽天大学にて「もし楽天店舗さんがドラッカーのマネジメント論を学んだら」講師を務める。

こんにちは、Dラボの代表・清水です。

時間記録は、いわば仕事の「家計簿」です。

「何に使ったかわかんないんだけど、今月もお金が足りないので貸してください」なんて言われても、貸してあげたくはならないと思います。有効なアドバイスもしてあげられないでしょうね。

「何に使っているのか?」がわからないから、兎に角、他より安いものを買う、という選択をしても解決にはなりません。

お金も時間も、むしろ使うべきところにたっぷりとかけた方が成果にはつながるはずです。

しかし、そのためには状況を正確に把握しなければ正しい判断はできません。

経験上、時間について正しく把握できなくなる要因としては、

  1. 上司が提出しろというから「提出用の記録」を作ってしまう。
  2. 〈何をしていたかわからない時間〉を、何かの活動の時間に寄せてしまう。
  3. 1時間単位や三〇分単位で書こうとするから、特定の活動時間が過大(あるいは過小)に記録される
  4. 何の「目的」の行動をしていたかよりも、どこにいたか(デスク・会議室・客先・移動中)を中心に書いてしまう
  5. 人間には感情があるので、楽しい時間は短く、不快な時間は長く評価してしまう

いかがでしょうか。

どんな冷静な人であっても、「自分自身を客観的に見る」ことはできません。

唯一あるとすれば、何に時間を使っていたかを見ることくらいです。

自分と自分の仕事を客観的に見なければ、誰かに指摘されて(あるいは状況がひっ迫して)渋々行動を変えさせられることになります。

完璧にできないからと言って、諦めて「何もしない」のではなく、完璧でなくても、「できる範囲で始めてみる」のはいかがでしょうか?

例えば、

  • 雑務についてだけ「それぞれ何分間かかっていたか?」をストップウォッチで図ってみる。
  • 「客先への移動時間〇分間は、何について考える時間にしたか?」を書いてみる。

という取り組みでもよいのです。

時間がない人への問い

あなたが時間の記録として、最初にできる小さなステップは何ですか?

読書が苦手な人でも成果をあげた「実践するマネジメント読書会」

実践するマネジメント読書会®は、“マネジメントの父”ことピーター・F・ドラッカーの著作を読んで実践する読書会です。

2003年に札幌で立ち上がり、現在は全国にまで規模が拡大し、経営者・個人事業主・会社員・学生など、さまざまな参加者が成果をあげています。

ドラッカーを実践してお店をつくった人もいます!

ドラッカーを実践して成果を出した事例

立ち上げ人は『実践するドラッカー』『ドラッカーに学ぶ人間学』などの著者・佐藤等氏(ドラッカー学会理事)。とくに2010年刊行以来ロングセラーとなっている『実践するドラッカー』シリーズは、なにを隠そう実践するマネジメント読書会®から生まれたものなのです。

なぜかみんなニコニコ!?読書会の面白さ

ここまで読んだあなたは、もしかしたら「難しそう」「堅苦しそう」な印象を受けたかもしれません。

ところが実際は、なぜかみんなニコニコ、とても穏やかな雰囲気です。みんな悩みを抱えているはずなのに……。なぜでしょう?

「この文章なんだけど、うちの会社ではね……」「いまの自分にドンピシャリな言葉を見つけました」「うちの会社の状況にそっくりで驚きました」――参加してみればわかる、読書会の不思議な雰囲気。20年以上続く魅力のひとつかもしれません。

実践するマネジメント読書会®の立役者であり、ドラッカーから“わが分身”と評された翻訳者の上田惇生先生は、読書会の雰囲気について、次のように言いました。

ドラッカーの本の指定された章を読んで、気に入ったところ、気になったところに線を引いてくる。そして、なぜそこに線を引いたかを発表し合う。ただそれだけのドラッカー読書会にみながにこにこして集まってくる。電車で来る人も、車で来る人もいる。札幌に大阪から飛行機で来る人もいる。

『実践するドラッカー [行動編] 』より

私たちの読書会は、単なる本の輪読会ではありません。

ドラッカー教授の言葉を通して、自己成長を促し、より豊かな人生を送るためのきっかけとなる場です。

もしご興味をお持ちいただけましたら、ぜひ一度ご参加ください!

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