前回の投稿でドラッカー教授の『プロフェッショナルの条件』Part3第1章に掲載された「私の人生を変えた7つの経験」の紹介を終えました。これらドラッカー教授の人生を変えた「7つの経験」を読んで皆さんは何を感じたでしょうか。私は、この7つの教訓からドラッカー教授の継続学習の2つの源泉を発見しました。
人から学ぶ
第4話:定期的に検証と反省を行う―編集長の教訓と第5話:新しい仕事が要求するものを考える―シニアパートナーの教訓は、上司である編集長とシニアパートナーから教訓を得ました。ドラッカー教授の師匠といってもよい存在です。しかし教訓の源泉は、上司に限られるものではありません。
第1話:目標とビジョンをもって行動する―作曲家ヴェルディの教訓は、当時、老齢で活躍していた作曲家から得たものです。たぶんドラッカー教授は、オペラ鑑賞後、新聞かなにかでヴェルディの発言を読んだのでしょう。
第7話:何によって知られたいか―シュンペーターの教訓も人から得たものです。直接会話を聞いたと言いますから、その影響力はさぞかし大きかったことでしょう。
本から学ぶ
ちょっと変わっているのは、第2話:神々が見ている―彫刻家フェイディアスの教訓からの教えです。
ギリシア時代の彫刻家ですから、直接会ったことはないのはもちろんのことです。おそらく書籍か何かで目にしたいのでしょう。しかし、これもフェイディアスという人物からの教えです。この事実は、教えを得るのは、鬼籍に入った人からでも学ぶことができることです。このような姿勢を「私淑する」といいます。書物に痕跡をとどめる古今東西の偉人が師になる可能性があるということです。
その意味では、第5話:事事前に書き留め、事後に振り返るーイエズス会とカルヴァン派の教訓
も何かの書物と考えられます。特定の個人ではありませんが、同じ経験をもつ集団からの学びです。
第3話:一つのことに集中する―新聞記者時代の決心の教えは、その決心を実現する手段が図書館だったという事実を挙げれば十分です。分野を決めて本を活用し徹底的に学んだドラッカーの姿が浮かびます。若い頃のドラッカー青年にとっての師は、本との出会いでした。
継続学習の2つの源泉
ドラッカーの「人生を変えた7つの経験」を振り返ると人との出会い、とりわけ師や上司との出会いで人生が変わることがわかります。これまで、どんな人に出会いどんな影響を得ているか。これからどんなご縁を結んでいけばいいのか。そんなことを考えさせられました。
もう一つの学びの王道は、本から学ぶことです。ドラッカー教授がいうように本の中にあるのは情報です。情報は実践をとおして知識に変えなければ価値がありません。実践があったからこそ、人生を変える経験にまで昇華したといえましょう。
この連載が貴方の人生を変えるためのキッカケになれば幸いです。
この連載とともに次の連載をぜひお読みください。
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