組織の目的について前回の復習からです。
第一に、社会において特有の役割(ミッション)を果たすことである<マネジメントの原理3>
第二に、所属する人を成長させることである<マネジメントの原理4>
第三に、組織の目的は社会にある新しい課題を解決することである<マネジメントの原理5>
今日は、第一の目的について掘り下げていきます。
第一の目的を実現するために組織は事業businessを行います。
組織は「公器」と呼ばれることがあります。組織が社会的機関だからです。組織は社会において役割を果たすことから「公」という語がついています。一方、組織は「器」であると考えられます。その器には何が入っているのか…
器をイメージして考えてみて下さい。こんな事例が参考になると思います。
2006年、日本最古の会社と言われている金剛組が経営破綻しました。創建は西暦578年。最初の発注者は聖徳太子といわれています。
バブルで傷を負った宮大工集団の金剛組を救ったのが地元のゼネコン高松建設(東証1部上場)です。新金剛組を設立し、人とノウハウをその組織に移転しました。旧金剛組はその後、破産処理されました。
金剛組の本社は大阪の四天王寺の近くにあります。聖徳太子が建立した四天王寺が過去2回全焼しても再建できたのは金剛組の存在があったからです。つまり同社の宮大工という事業は世の中になくてはならない存在になっていたのです。
この事例が端的に示しているのは、社会にとって重要なのは組織ではなく事業であるという事実です。経営者にとってはゾッとする話ですが組織が社会の道具であるという原理<原理1>から考えると当然といえば当然の帰結です。
この事例から組織という「器」の中身は「事業」であることがわかります。そしてその事業は「器」ではなく社会に選ばれているかどうかで評価されるということです。一つの重要な原理を提示して今日のメルマガを終えたいと思います。
<マネジメントの原理6>
組織の目的(ミッション)を実現する手段として事業がある
マネジメントの体系―事業のマネジメントという大枝
マネジメントは知識体系です。これまでの原理は、組織の根本原理です。いわば樹木の幹に位置づけられます。幹から大きな枝が四本が分かれています。その一つの枝が「事業のマネジメント」という枝です。
組織と顧客の関係性を示す枝です。今日の原理は、まさに幹から枝が分かれる起点に位置づけられます。事業のマネジメントの枝にマーケティングやイノベーションという枝がさらに分かれています。自分の頭に中に体系図を樹形図状に描けるようになることが実践で非常に役に立ちます。
原理のマネジメントが必要な理由
第1回目は、原理がマネジメントにいかに必要かについて触れています。<方法ではなく原理を手にすること>の大切さについては何度も確認して欲しいと思います。
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