マネジメントとは何か―ドラッカー教授から学ぶ実践に不可欠な<マネジメントの原理>【第9回】われわれの事業は何か


これまで解説してきたように「事業」に関しての原理として重要なものが3つありました。該当する記事を読んで復習して下さい。

事業の目的<マネジメントの原理7>
事業の定義<マネジメントの原理8>
事業成立の3つの要素<マネジメントの原理9>
これらを踏まえて今日の原理です。

「われわれの事業を定義する」<マネジメントの原理10>

一件、「事業の定義」と何が違うの?と思われるかも知れません。「事業の定義」は、「事業とは何か」を問うもので、事業そのものの意味を表しています。これに対して「われわれの事業の定義」は「われわれの事業は何か」に答えることです。具体的には①誰に②何を③どうやって提供するかに答えることになります。

「われわれの事業は何か」を問う

この際、事業が成立する3つの要素<マネジメントの原理9>の確認は欠かせません。
・事業は組織を取り巻く環境に適合していること
・事業は組織の使命にそっていること
・事業は組織の強みを生かせること

組織は社会の機関であり、特定の目的(ミッション)を実現するために存在します<マネジメントの原理3>。さらに、組織の目的(ミッション)を実現する手段として事業がある<マネジメントの原理6>のですから、事業は組織を取り巻く環境に適合していなければなりません。

事業というプロセスに組織の強みを生かすことは、何を提供するかを決定づけます。強みを基盤にしないで提供される財やサービスは長く顧客に支持されることはありません。このことは、次の事業の定義<マネジメントの原理8>を確認することを意味します。
・事業はプロセスである
・事業というプロセスに知識を投入する
・事業というプロセスから経済価値(顧客価値)を生み出す

事業がプロセスであることは③の「どうやって」に関係しています。つまりどのような業務、仕事の連鎖によって提供されるのが最適なのかを設計し、運用することを意味します。

またプロセスへの知識の投入は組織の強みを生かすことと同じです。業務や仕事、作業に組織の強みは込められるからです。
さらに事業というプロセスが生み出すものは顧客価値です。それこそが事業の目的、すなわち顧客価値の創造<マネジメントの原理7>を実現することにつながっています。

「われわれの事業は何か」に答えることは、①誰に②何を③どうやって提供するかに答えることです。ドラッカー教授が「われわれの事業の定義」するために用意した問いに「経営者に贈る5つの質問」があります。以下の5つです。

①われわれのミッションは何か
②われわれの顧客は誰か
③顧客にとっての価値は何か
④われわれにとっての成果は何か
⑤われわれの計画は何か

 

とりわけ重要なのは、すべての顧客に対応した価値という考え方は存在しないということです。特定の顧客に特定の価値を提供するのが事業です。「われわれの事業を定義する」<マネジメントの原理10>は、組織の目的を提供する手段である事業を具体的に考える大事な活動です。それは組織運営の1丁目1番地といっても過言ではありません。

 

原理のマネジメントが必要な理由

第1回目は、原理がマネジメントにいかに必要かについて触れています。<方法ではな<原理を手にすること>の大切さについては何度も確認して欲しいと思います。

 

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佐藤 等
<実践するマネジメント読書会🄬>創始者。『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズ5冊の著者。 ドラッカー学会理事。 マネジメント会計を提唱する佐藤等公認会計士事務所所長/公認会計士・税理士。 ナレッジプラザ創設メンバーにして、ビジネス塾・塾長。 Dサポート㈱代表取締役会長。 ドラッカー教授の教えを広めるため、各地でドラッカーの著作を用いた読書会を開催している。 公認ファシリテーターの育成にも尽力し、全国に約70名のファシリテーターを送り出した。 誰もが成果をあげながら生き生きと生きることができる世の中を実現するため、全国に読書会を設置するため活動中。 編著『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズは、20万部のベストセラー。他に日経BP社から『ドラッカーを読んだら会社が変わった』がある。 自身のブログ<ドラッカリアン参上>は連続投稿4000日以上を達成して続伸中雑誌『致知』に「仕事と人生に生かすドラッカーの教え」連載投稿中

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